会計相談室
2014年5月6日 13:00:00
心と管理会計
「鬣(たてがみ)さん、経営はうまくいっていますか?」譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)が鬣に聞いた。
「うーん、最近はうまくいっているとはいえないなぁ」
「原価計算も始めて管理会計を導入して各部門やスタッフの売上や利益を厳密に計算をして成績を数値化したのじゃが、成績の良いスタッフはよいのじゃが、会社全体としては業績が下がっているのじゃ。これが逆にみんなのやる気を失わせているような気がしてならないのじゃ。」
「成績の数値化という言い方もあるかもれませんが、会計数値は、会社内にいる人たちと外部の環境を数値化したものということもできると思います。以前に同じようなお話をしたときに会社の理念は「従業員全員の幸せを追求する」としましたが、うまく機能していないようですね。」
「そうは言ったもものどうやったらそのような大それたことができるのか皆目わからないのじゃ。」
「実は経営環境は自分の心が決めてしまっていることをご存知ですか?心と環境は一体であって心が環境を引き寄せているのです。そうすると経営の良し悪しは経営者を中心とする全従業員の心によって決まってしまうことになります。」
「なに、それでは会社全体の業績がよくないのは、わしの心がよくないからか?」
「もしかするとそうかもしれません。経営者が経営者として正しい心をもって言動一致で行動すれば成功しますが、悪い心を持てば必ず失敗します。したがって、経営者は自らを清めガラス張りにして自分に厳しくストィックなまでに自らを律しなければなりません。」
「確かにまだまだわしは自分のことしか考えていなかったのかもしれないなぁ。それじゃ、どうすればいい?」
「経営者は全従業員の幸せを求め全人格をもって全従業員に接しなければいけなりません。お客様に質の高い製品やサービスを提供するためには、お客様に接する従業員が決定的に重要です。そのためには従業員が上司、経営者から、教育、愛情、幸せを与えられ高まっていなければなりません。」
「そうか。わしや会社のトップは、全従業員に対して教育、愛情、幸せを与え心を高める環境をつくってあげなければならないのじゃな。わしにはまだまだそこまで全従業員にしてあげていなかったような気がする。」
「鬣さん、現象を数字で示すことによって心の状態を判断できる。それが会計の側面でもあります。経営は科学であり、不思議は1つもありません。会計数値は経営者と従業員の心を数値で表していると言ってもよいのです。」
「そうか、もう少しがんばってみるか。譲謙、今回もありがとう。」
米国公認会計士齊藤事務所:齊藤幸喜