税金相談室
2007年6月15日 22:00:00
学生ビザのソーシャル・セキュリティー税還付
質問: 学業終了後のFビザ保持者。OPTで実務研修中です。ソーシャル・セキュリティー税とメディケア税は課されないと聞いていましたが、給与からこれらの税金が引かれています。還付を受けられますか? 答え: 間違って源泉徴収されたソーシャル・セキュリティー税とメディケア税は、本来、雇用主から還付されるのが正しいのですが、納税者本人による代替還付も可能です。 ●給与からの源泉税 米国では通常、給与から連邦や州市の所得税のほかにソーシャル・セキュリティー税とメディケア税が差し引かれて手取金額が支給されます。米国の社会保障制度への拠出(積立て)を定めた法律であるFICA(連邦保険拠出法)に従うことが雇用主に義務付けられているためです。雇用主は、給与支給額に一定率(7.65%)を掛け合わせたFICA税を従業員負担分として源泉徴収し、同額を雇用主負担分として拠出して、IRS(内国歳入庁)を通して積み立てます。定年退職後、年金の形で受け取るソーシャル・セキュリティー給付金は、積み立てられてきた拠出金に基づいて金額が決定されます。 ●ソーシャル・セキュリティー税が免税となる納税者 F(学生)、J(交換訪問者)、M(専門学校生)、Q(交流訪問者)の各ビザ保持者が非居住外国人である間は、学生、教職、研修のどの身分であっても、受け取る給与はソーシャル・セキュリティー税とメディケア税(FICA税)の対象とならず、手取金額がその分だけ多く支給されます。このほか、日米社会保障協定を適用して日本の社会保障制度に継続加入する日本からの派遣駐在員は、米国のFICA税について免除扱いにすることができます。 ●雇用主からの還付 一定ビザ保持者はFICA税が免税であるとの認識不足のため、FICA税を源泉徴収して給与を支給することがあります。その場合、納税者は免税を規定した根拠法の条項(IRC内国歳入法第3306(c)(19)条)を雇用主に提出して、間違って源泉徴収されたFICA税の還付を受けることができます。雇用主は、IRS(内国歳入庁)へ給与関係税フォーム941の修正申告を行って納税金額を調整し、納税者にFICA税を還付することになります。既に源泉徴収票フォームW-2が発行されている場合、雇用主は更に社会保障事務所へ修正されたフォームW-2の提出を必要とします。 ●納税者本人による代替還付 間違って源泉徴収されたFICA税は、本来、雇用主から還付されるのが正しい方法です。何らかの理由で雇用主から全額還付を受けられない場合は、代替方法による還付請求が可能です。納税者本人が還付請求書フォーム843をIRSへ提出して還付を受ける方法です。還付請求書には、次の書類を添付する必要があります。 ・ 源泉徴収票フォームW-2(FICA税が徴収されたことを示すため)の写し ・ ビザの写し ・ フォームI-94(Arrival-Departure Record 米国出入国記録)の写し ・ F-1ビザの場合、フォームI-20の写し ・ J-1ビザの場合、フォームDS-2019の写し ・ OPTの場合、フォームI-766またはI-688Bの写し ・ 既に受け取った還付金を示す書類(雇用主発行)。この書類がない場合、その理由を記述した書類、またはフォーム8316(間違って徴収されたソーシャル・セキュリティー税の還付に関する情報)。 還付請求書は、雇用主が給与関係税申告書を提出したIRSの住所に提出しなければなりません。