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会計相談室

2008年3月11日 13:00:00

売掛金の確認手続きについて

Inage Hawaii

Q. 監査人が、監査手続の一環として売掛金の確認手続を行っていますが、売掛金の確認手続について教えてください。


A. 監査人は、監査先の会社の売掛金の残高が期末日に実際に在ったのかどうか(実在性)を確認するために、会社の売掛金の残高について相手先に会社から確認を行ってもらいます。売掛金の確認手続は、監査手続では原則として実施しなければならない手続です。売掛金の確認手続には、積極的確認、消極的確認、白紙確認、選択確認があります。


積極的確認とは、確認内容につき、内容が正しくても間違っていても確認先から回答を入手する方法です。消極的確認とは、確認する内容が間違っていた場合にのみ回答を確認先より入手する方法です。消極的確認では、返信のない確認書については、正しかったとみなします。白紙確認は確認先に残高や請求書の金額を記載してもらいます。白紙確認では、通常、確認書の返答率が悪く多くの差額が発生しますので、金額自体の確認よりは、条件等の確認に使用します。選択確認は、いくつかの金額から相手先に正しいと考えられる金額を選んでもらう確認方法ですが、この方法はまれにしか使用しません。 


監査で確認手続を実施しなくてもよい場合とは、残高に重要性がない場合か、確認手続を行うことが効率的でない場合か、重大な誤謬が起きるリスクが低く、代替的な手続で確認手続を補完できる場合です。非上場会社の監査では、一般的に積極的確認によって実在性についての証拠を入手します。消極的確認は、基本的には、以下の場合を除き、非上場会社の確認手続では適切ではありません。 


①固有のリスクと内部統制のリスクの合計が低い場合:これは会社の売掛金にかかわる潜在的なリスクが低く、内部統制がしっかりしていて、間違いの発見や予防がきちんとできていることを意味します。②多数の小額の残高がある場合:1つ1つの売掛金の残高が非常に小さく、無数にある場合です。消費者を相手にした小売業者の場合に見られます。③監査人が確認の相手先がきちんと確認書を見てくれると判断した場合。もしも、これら全ての条件を満たした場合、消費者を相手にした金融業者や小売業者に対しては、消極的確認を行うことができます。 


積極的確認を実施した場合、監査人は回答のない相手先に対して通常、回答の催促を1度します。2度催促することはまれです。それでも回答が来ない場合には、代替的な監査手続として売掛金の回収状況を調査します。ただし、回収調査では、どの売掛金が回収されたかを特定できなければ、代替手続として役に立ちません。なぜならば、期末時点での実在性を確認できないからです。また、全ての確認書の回収が常に必要というわけではありません。確認書の未返信の売掛金がある場合、監査人の判断に影響を与えないような金額の小さいものならば、単純にエラーとして扱うことが可能です。確認書を入手した後、監査人は次のような評価を行う必要があります。


①サンプルから入手した情報を基に売掛金の残高についての予想値を予測する②サンプルは監査人が売掛金の実在性の判断下すのに十分であったかどうか③追加の監査手続が必要か判断する④予想しうる売掛金のエラーは財務諸表全体の誤謬に影響しないか⑤予想しうるミスは不正や内部統制に関連していないかを判断する。その他、郵便によらない確認書、例えば、ファックスやE-mailの確認は、電話での相手先の確認や確認書の原本の返信を頼むなど追加の手続が必要になります。


米国公認会計士

大島斉藤会計事務所

齊藤幸喜

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