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税金相談室

2011年6月23日 4:00:00

国境を越える贈与・相続 (7)

Inage Hawaii

国境を越える贈与・相続 (7)


米国籍配偶者間の非課税財産移転


税法上、Marital deduction (婚姻控除、配偶者控除と訳される場合もあります。) と呼ばれる制度があります。法的婚姻関係にある夫婦間の財産移転を、生前、死亡時を問わず、税金が課せられることなく無制限に行うことを可能にする制度です。婚姻控除は、財産の贈与および相続を受ける側の配偶者の国籍が米国である場合にのみ適用されます。国籍を問われるのは、通常、財産を遺して納税義務を負う側の配偶者ですが、婚姻控除の場合だけは別です。配偶者がグリーンカード保持者の場合、外国籍であるため、婚姻控除による非課税財産移転は認められません。配偶者が外国籍であっても、生涯非課税財産移転の適用による500万ドルまでの無税贈与・相続は認められます。QDOTと呼ばれる信託を利用すると、外国籍配偶者に遺される遺産について婚姻控除と同じ効果が得られます。


相続対策上、婚姻控除だけに偏ることなく、生涯非課税財産移転も上手に組み合わせた贈与・相続を実行することが勧められます。生き残った直系血族への財産移転の際、思いがけない高額課税が生じることがないよう、婚姻控除以外の節税方法も活用していく必要があります。


贈与者・遺贈者が非居住外国人である場合、婚姻控除、および、生涯非課税財産移転(500万ドル)を適用することはできません。外国籍配偶者への贈与は、特別の年間非課税額が規定されています。その金額は2010年13万4000ドル、2011年13万6000ドルです。配偶者以外の家族への贈与は、受贈者一人につき年間1万3000ドルが非課税で移転できる金額です。連邦贈与税および遺産税の税率は、10%~35%までの10段階の累進税率(2011年、2012年)です。


米国公認会計士 大島襄

 

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