税金相談室
2011年6月14日 4:00:00
国境を越える贈与・相続 (6)
国境を越える贈与・相続 (6)
米国から日本への贈与
米国から日本の居住者へ贈られる財産にかかる米国と日本の贈与税を検討します。贈与者が米国市民であれば、連邦贈与税の課税は殆どの場合生じません。生涯非課税贈与枠を適用することによって、500万ドルまでの財産移転に税金が課せられないためです。米国内にDomicile (定住地) があると本人が考えている永住権保持者は、居住外国人とされて米国市民と同等の扱いを受け、生涯非課税贈与枠によって、やはり課税を免れます。500万ドルの生涯非課税贈与枠は、非居住外国人には適用されません。
日本にDomicile (定住地) があると本人が考えている永住権保持者は、贈与税法上、非居住外国人とされます。同様に、Eビザ、Lビザ、Hビザ、Iビザ、Oビザなどのビザで米国に滞在する外国人は、Domicile (定住地)が米国外にあるため非居住外国人とされます。米国に住む非居住外国人から日本の居住者への贈与は、米国国外財産については非課税ですが、米国国内財産については、有形資産あるいは無形資産に分類して、課税・非課税が決められます。有形資産 (不動産、現金、自動車、宝石貴金属、美術品など) であれば課税、無形資産(株式、債券、有価証券、手形、著作権など)であれば非課税となります。
日本の居住者が外国から受け取る贈与は、財産の種類や所在国、贈与者の国籍に関係なく、日本の贈与税の対象となります。受贈者が贈与税の申告・納税の義務を負いますが、その際、年間110万円の基礎控除を差し引くことが認められます。同一の贈与に対して日本と米国の双方で贈与税が課せられる場合、外国税額控除の適用により、日本の贈与税の計算上、米国の贈与税の税額控除が認められて、二重課税の回避が達成できます。
米国公認会計士 大島襄