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税金相談室
国境を越える贈与・相続 (15)
2011年8月22日

国境を越える贈与・相続 (15)
日本在住の米国籍夫の死
日本人女性と結婚し、日本に20年間居住していたニューヨーク州出身のアメリカ人が亡くなりました。遺された財産は、日本にある不動産と銀行預金、そして米国にある銀行預金です。国際結婚に伴う遺産相続のための法の適用に関する通則法26条は、相続は被相続人の本国法によると定めていて、相続人の範囲、相続順位、相続能力、相続財産の範囲、法定相続分の割合など、外国人の本国の相続法に基づいて処理することになります。連邦制を採用している米国は、法律が連邦法と州法の二重構造になっていて、相続関係は州法が規定しています。ニューヨーク州法は、相続財産を動産と不動産に分け、動産は被相続人の本国法で、不動産は所在国(日本)の法律で決めることとしています。
米国籍の被相続人が遺した全世界遺産は連邦遺産税の対象となります。課税遺産が基礎控除(2011年、2012年500万ドル、2013年以降100万ドル)の範囲内であれば連邦遺産税は発生しません。基礎控除を超える場合、超過額に税率(2011年、2012年18%~35%、2013年以降18%~55%の累進税率)を掛け合わせて遺産税を計算します。相続人に課せられた日本の相続税は、外国税額控除によって連邦遺産税と相殺されます。Domicile (定住地)がニューヨークに無かったため、ニューヨーク州遺産税については課税対象外です。
相続人を納税義務者とする日本の相続税は、相続人の居住国や国籍によって課税・非課税が決まります。相続人が日本国内に住所のある日本国籍保持者、または居住外国人である場合、日本国内財産、および国外財産の全世界相続が相続税の課税対象となります。相続人が日本国外に住所のある外国籍保持者である場合、日本国内財産の相続だけが課税対象となり、日本国外財産は非課税です。
米国公認会計士 大島襄
