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税金相談室

2011年7月18日 4:00:00

国境を越える贈与・相続 (11)

Inage Hawaii

国境を越える贈与・相続 (11)


米国滞在中の死


日本の本社から現地法人子会社へ出向で来ている駐在員が、交通事故で亡くなりました。遺言は残しませんでした。Eビザ、米国(NY州)滞在年数は6年。遺族は妻と子一人で、遺された財産は日本と米国にある住居と銀行預金です。無遺言死亡の場合のプロベート裁判所手続の問題がありますが、ここでは米国の遺産税と日本の相続税の課税についてだけ検討します。


連邦遺産税上の居住者・非居住者の区分は、所得税に適用される実質滞在日数による区分と異なり、Domicile (定住地) が米国内にあるかどうかで決定されます。Eビザなどで米国に滞在する外国籍保持者は、Domicile が米国にないため、非居住外国人とされます。非居住外国人の場合、課税対象となる遺産は一定の米国内財産(不動産、家具、車等の有形資産、米国法人発行の株式・債券)だけに限られて、米国外財産、米国銀行預金、外国株式・債券、生命保険金などは非課税扱いとなります。課税対象遺産から基礎控除を差し引いた後の金額に、税率を掛け合わせて税額を計算します。税額の計算過程で税額控除(Unified Credit)の形で処理される基礎控除は、非居住外国人に対する一律6万ドル、または日米遺産税条約第4条に基づく金額です。この金額は、米国市民用の基礎控除(2011年、2012年500万ドル、2013年以降100万ドル)に、課税対象遺産が全世界遺産総額に占める割合を掛け合わせて得られた按分配賦額です。連邦遺産税率は、2011年、2012年18%~35%、2013年以降18%~55%です。州遺産税の申告も必要です。


日本の相続税については、被相続人(故人)と相続人(遺族)の双方の住所が、過去5年以上日本国外にあったため、課税対象となるのは、日本国内財産だけです。日本国外財産(米国の住居と米国銀行預金)については、日本の相続税の対象外です。


米国公認会計士 大島襄

 

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