会計相談室
2013年4月15日 13:00:00
固定費は会社の皮下脂肪ー損益分岐点の話
「鬣(たてがみ)さん、損益分岐点というものを聞いたことがありますか?」コンサルタントの譲屋謙吉(ゆずりやけんきち)、通称、譲謙(ゆずけん)は鬣に聞いた。
「何だそりゃ?そんえきをてんけん?」
「まあ、似たようなものです。そんえきぶんきてんと言います。会社がその売上を超えれば利益になるし、下回れば損失になるという売上の一点の金額をいいます。」
「ほう、そうすると会社の売上目標となる数字か?」
「そうですね、目標としては最低ラインの目標となると思います。いわば、社長が毎月の売上を考えるときの一つの目安となります。その計算方法は、固定費(こていひ)を限界利益(げんかいりえき)で割ることで計算されます{損益分岐点=固定費/限界利益}「固定費?限界利益?何だ何だ?」
「固定費とは、売上には関係なく発生する経費です。例えば、家賃、固定資産の減価償却費、あるいは、経理のスタッフの給料などです。限界利益は、売上から変動費を差し引くことで計算されます。例えば、販売した商品の仕入代金、商品の販売に関わる運送費、販売に関わる人件費等です。この変動費を売上から差し引いて計算した利益を限界利益といいます。」
鬣は「それじゃ、会社が利益をあげていくためには、損益分岐点を下げればよいのか?」
「その通り。そして、損益分岐点を下げるためには、固定費を下げるか、限界利益を上げるかになります。限界利益を上げるためには、売上単価を上げるか、変動費を下げることになります。変動費の調整は会社の努力によって比較的柔軟に行うことが可能ですが、固定費はそうはいきません。固定費は、油断していると容易に膨れ上がってしまいます。また、一旦、膨れ上がるとなかなか後戻りできなくなってしまいます。」
<解説>固定費は譲謙が言っているように油断をするとどんどん増えていきます。そして、一旦増えた固定費の増加は、容易に減らすことができずません。人間で言うと皮下脂肪のようなものです。必要なものですが、つきすぎると健康を害することになりますし、また、一旦つくとなかなかとれません。固定費の増加には十分警戒をしましょう。
齊藤幸喜