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税金相談室

2001年8月5日 22:00:00

名義人受取利子の報告と課税

Inage Hawaii

Q:日本の母から預かった資金を、アメリカの私名義の銀行口座に預金したため、銀行から発行された調書フォーム1099の受取利子の中に、母に属する分が含まれています。確定申告の際、母の受取利子を除いて報告することにより、税金をその分だけ少なく計算することは可能でしょうか?


A・銀行から送られてくる調書フォーム1099の受取利子の金額は、確定申告の際、課税対象所得に含めて、税金を支払う義務があります。ソーシャル・セキュリティー番号が納税者番号として効果的に機能していて、IRSへ報告された支払調書フォーム1099の情報と、納税者が提出した申告書の内容をコンピューターにより照合して、申告漏れの摘発を行っているからです。


受取利子の調書フォーム1099が銀行によって発行されても、ほかの人に属する資金の名義人


(Nominee)となっているため、名目だけの利子の受取人という場合があります。母親の資金を自分名義の預金口座に預けたため、自分のソーシャル・セキュリティー番号の調書フォーム1099の受取利子の金額の中に、自分以外の受取利子が含まれているというのがその一例です。そのままにしておけば、受取利子の総額を課税対象所得として報告しなければならず、余分な税金負担が自分に振りかかることになります。


このような場合、正しい受取利子の金額だけを報告する方法があります。自分が支払利子調書の再発行人になることにより、受取利子の帰属を、名目だけの名義人から正しい納税義務者へ移転することが可能です。アメリカ国外に在住する非居住外国人に対する支払利子調書の発行は、フォーム1042Sで行います。このフォームを発行するためには、まずIRSから雇用主ID番号(Employer Identification Number)を取得する必要があります。フォーム1042Sには、名義人である自分の氏名、住所、ID番号、利子の金額、本来の所有者の氏名、住所、納税者番号を記入します。フォーム1042Sは、3月15日までにフィラデルフィアのIRSセンターへ送付提出します。この時、フォーム1042という調書も添付します。


連邦個人所得税申告フォーム1040の添付スケジュールBに、利子所得として銀行から送られてきたフォーム1099の金額と銀行名を一応記入します。利子所得の合計額から名義人分配(ノミニー・ディストリビューション)として、フォーム1042Sに記載した金額を削除する(差し引く)ことにより、自分に属する正しい金額だけを課税対象額とすることができます。


非居住外国人(日本の母)が受け取る米国銀行の預金利子は、米国税法上非課税であるため、アメリカの名義人から日本の母親へ発行されたフォーム1042Sの利子には、アメリカの税金はかかりません。日本では課税対象となります。


非居住外国人ではなく、アメリカ居住者に対して発行する支払利子の調書は、フォーム1042Sのかわりにフォーム1099です。この場合、スケジュールBの利子所得合計額から名義人分配(Nominee Distribution)を差し引くことにより、自分に属する正しい金額だけを課税対象額として報告できるわけです。受取利子の名義人が発行したフォーム1099を受け取った米国居住者は、当然その金額を自分の確定申告書上、課税対象所得として報告し、税金を納めることになります。


KPMG特別顧問 米国公認会計士 大島襄

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