税金相談室
2007年2月15日 23:00:00
出張旅費
質問:出張旅費の控除の範囲に関して、妻を同伴した場合、休暇を兼ねた出張の場合、海外出張の場合について教えてください。 答え:配偶者が業務に関わっていない限り、配偶者分の費用の控除は認められません。休暇を兼ねた出張は、業務が旅行の主目的であれば控除が認められます。海外出張旅費は、管理職と一般従業員とで取り扱いが異なります。 出張旅費 出張とは日常の生活をしている主たる住居から離れて、一泊以上の宿泊を伴う業務上の旅行のことをいいます。宿泊期間が無期限である場合には出張とは考えられず、その宿泊地が日常の生活をする主たる住居と見なされて控除は否認されます。 従業員が出張の際支出して、会社から返済されない金額が控除の対象となります。自営業の場合、出張のために支出したすべての費用を控除できます。 ・航空運賃、鉄道運賃、バスの切符代。 ・自分の車代(07年標準レートは1マイルにつき48・5セント)、レンタカー代、タクシー代。 ・ホテル宿泊代。 ・食費(50%)。実費または日当額。 ・チップ、電話代、洗濯代。 出張費用はその実費(または日当額)を会社の経費として処理することができますが、会社の出張旅費の清算方式が「アカウンタブル・プラン」を採用していることを条件とします「アカウンタブル・プラン」とは、次の二条件を満たすものを指します。 1. 会社が社員に対して実際に支出した経費の適切な明細を報告することを義務付けていること。 2. 会社が支給した金額よりも社員が実際に支出した経費が少ない場合、差額を会社に返済することを義務付けていること。 会社が「アカウンタブル・プラン」の条件を満たしていない場合、会社から支給された出張手当は社員が受け取った給与と見なされます。 配偶者分の費用 出張に同伴した配偶者や家族が従業員であり、出張に行く業務上の根拠があれば、配偶者や家族分の出張旅費の控除が認められます。配偶者が出張先で全く業務に関わりがない場合、配偶者にかかった費用は原則として出張旅費としては認められません。 二人分の費用から配偶者分を除いて控除額を算定する際、単純に領収書の2分の1の金額を納税者本人分とするとは限りません。例えば、ホテルの領収書には二人分の宿泊代が記載されていますが、2分の1の金額ではなく、一人の宿泊料がいくらであるかを調べてその金額を控除額とします。二人の宿泊料が一泊220ドルの領収書が発行されたとします。そのホテルの一人の宿泊料が200ドルであれば、控除額は110ドル(220÷2=110)ではなく200ドルになります。航空運賃は本人分だけを使います。出張に自分の車を使った場合、かかった費用の全額を使います。食費などその他の費用については2分の1が妥当と思われます。 ビジネス兼休暇費用 出張先がリゾート地で、仕事と休暇の組み合わせでの出張について検討します。旅行の主な目的があくまでも出張による業務遂行であり、宿泊地がアメリカ合衆国内にある場合、たとえ日程の一部を休暇・私用に費やしたとしても、旅客運賃、宿泊費、食費(50%)は出張旅費として全額を控除することができます。逆に旅行の主目的が個人的な休暇であり、日程の一部を仕事に費やした場合、往復旅客運賃の全額については否認され、宿泊地での滞在費の業務分だけが控除できます。旅行の主目的が業務遂行で、旅程を延長して個人目的に費やした場合、往復旅客運賃のうち私用分を除いた金額が控除の対象となります。 海外出張 海外旅行の主目的が出張による業務遂行であり、旅行日程や行き先に関する決定権を有していない管理職以外の従業員の場合、旅程の一部を休暇・私用に費やしたとしても、出張旅費の全額控除が認められます。 管理職および自営業の場合は、全額控除は認められず、休暇該当分の経費は否認されます。ただし、次の三つのケースでは、いずれの場合も出張旅費の全額控除が認められます。 1. 海外出張の期間が、米国出国日・入国日を除いて一週間以内である場合。 2. 海外出張の期間が一週間超で、休暇・私用期間が全体の25%未満である場合。 3. 出張計画立案に際し、休暇をとることが主眼点ではなかった場合。 海外出張の期間が一週間超で、休暇・私用期間が全体の25%以上の場合、出張費の一部は否認されます。