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会計相談室

2008年1月1日 16:30:00

内部統制について

Inage Hawaii

1.予防目的の内部統制と発見目的の内部統制について教えてください。 


財務報告のための内部統制には、予防目的なものと発見目的のものがあります。予防目的の内部統制は、間違いを予防したり、財務諸表の間違いを犯すような不正を最初の段階で予防する目的の内部統制です。発見目的の内部統制は、間違いを発見したり、すでに起きている財務諸表の間違いに関わる不正を発見する目的の内部統制です。たとえ、内部統制がよく設計されていて、その通りに運用されていても完全に間違いが起こることを防ぐことはできません。しかしながら、予防目的の内部統制手続を重複して行うか、予防目的の手続に発見目的の内部統制手続の一部取り入れることによって、予防率を向上することができます。したがって、財務報告に関する効率的な内部統制は、特定の目的を達成するため、予防目的と発見目的のコントロールを組み合わせることになります。 



2.内部統制とは何でしょうか? 


内部統制とは、取締役会、経営者やその他の会社の人員が、内部統制上の目的を達成することを合理的に保証するために設計されたプロセスです。内部統制の効率性は、その時々のプロセスの状態をいうことになります。内部統制の目的とは、①経営の効率性や有効性―これは、会社の本来の目的である利益目標や資源の保全等をいいます。②財務報告―これは、会社の財務報告書の信頼性をいいます。③順法性―これは、全ての法律に従うことをいいます。内部統制の構成要素には、次の5つがあるといわれています。それらは、統制環境、リスクの評価、統制活動、情報伝達、監視活動です。 



3.内部統制の固有のリスク(限界)とは何でしょうか? 


財務報告の内部統制で、理解しておかなければならないことは、内部統制には、固有のリスク(限界)があるために、財務報告には合理的な正確性は得られても、完全に正しい財務報告書を作成することはできないということです。内部統制の固有のリスクでまずあげられるのは、財務報告に関わる内部統制のプロセスには、人間の作業が介在することです。そのため、判断のミスがあったり、人為的なミスが発生する可能性があります。さらに、2人以上の共謀による不正や経営者自身による内部統制を無視した不正行為も起こりえます。これらの内部統制の限界のために財務報告の重大な間違いを直ちに予防したり発見したりできない可能性があります。しかしながら、これらの固有のリスクは財務報告のプロセスではすでに承知のことでもあるので、これらのリスクを下げるように内部統制のプロセスを計画する必要があります。 



4.合理的な保証とは何でしょうか? 


経営者の財務報告の内部統制の効果に対する評価は合理的な保証を与えるレベルといわれています。合理的な保証とは、重大な間違いが直ちに予防または発見されないことが、ほぼない状態をいいます。ここには完全な保証というものはありえないので、合理的な保証が、最高レベルの保証ということになります。内部統制に固有のリスクがあったように財務報告の内部統制に対する内部監査や外部監査にも固有のリスク(限界)があります。なぜならば、監査はテスト(サンプル)ベースで行われ、全ての項目の詳細な調査は行われません。また常に監査人の判断が必要とされるからです。 


 


米国公認会計士  

齊藤会計事務所 

齊藤幸喜 

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