会計相談室
2018年10月9日 13:00:00
公認会計士の倫理基準
「譲屋謙吉(ゆずりやけんきち)さん、アメリカの公認会計士とやらは、何かと業界の自主規制が強いと聞いたが、それは本当か?」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲屋におもむろに聞いた。
「その通りです。公認会計士はお客様から雇われてフィーを頂戴してアドバイザリーサービスから報告書作成業務まで様々な仕事をしますが、その多くのプロダクトは広く第三者から信頼されなければならないものです。よって高度の倫理感が要求され、それを自分たちで確立するために厳しい倫理規定を自主的に作り守っています。」
「第三者とは具体的には誰のことじゃ?」
「例えば、投資家や金融機関、非営利団体への寄付金の寄付者などです。」
「自主規制とは具体的にはなんじゃ?」
「米国公認会計士協会の職業的専門家倫理基準(倫理基準)です。」
「誰が従わなければならないのじゃ?」
「米国公認会計士協会のメンバーの全てです。」
「具体的にはどうするんじゃ?」
「会計士にとって最も重要なことは独立性の維持です。独立性が保たれていることが常に求められます。まずは、倫理基準に従って詳細なガイダンスに従ってステップを踏みながら見ていきます。その上で、フローチャートで視覚的にステップの判断もしていきます。また、サンプルを用いながらワークシートでステップを分析する手助けもします。」
「ふむふむそうか、うまくできているもんじゃの。しかし、全てのケースを指し示すことはできんじゃろ。その場合、どうするのじゃ」
「倫理基準の具体例に当てはまらない場合には、次のように5つのステップで見ていきます。
ステップ①倫理基準を破っているような状況や関係は何かを具体的に明らかにします。
ステップ②その状況や関係の重要性を評価します。
ステップ③その状況や関係を消去するようなセーフガードを見つけ出します。
ステップ④、③のセーフガードの有効性を評価します。もしも、そのセーフガードが独立性を脅かしている状況や関係を消去できた場合、メンバーはプロフェッショナルサービスを提供することができます。
ステップ⑤、以上の状況や環境、そしてセーフガードの運用によって独立性が確保できた場合には、一連のステップをワークペーパーに記録します。」
「いろいろと会計士は大変じゃのう」
「公認会計士の社会的な要求と使命は高く、それを遂行するためには高い志が求められます。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com, info@saikos.com):齊藤幸喜