税金相談室
2007年10月20日 22:00:00
住居売却免税の特例
質問:2年経過以前に住居を売却した場合でも免税となる場合について教えてください。また、一部を自宅内事務所や賃貸に使っている住宅の売却益の取り扱いについて教えてください。
答え: 健康、転勤、その他の予期できない事情のため、2年間の居住条件または所有条件を満たさずに主たる住居を売却した場合、例外規定が適用されて、売却益の一部が免税扱いとなります。
早期売却
主たる住居の売却益が免税となるためには、2年間の居住条件および所有条件を満たす必要があります。2年未満の早期売却であっても、一定の例外に該当すると売却益の一部が免税となります。一定の例外とは、健康や転勤、その他の予期できない事情により、2年間の居住条件および所有条件を満たさずに住居を売却した場合です。按分比例によって減額された売却益が免税となる金額です。
たとえば、ある納税者が2007年に、主たる住居をニューヨークで購入して住み始めたとします。その後、体調を崩したため精密検査を受けたところ、末期疾患の診断をくだされて手術と長期入院を必要とすることになりました。住居は必要がなくなったため、購入から1年後、売却して10万ドルの売却益を得ました。この場合、健康による早期売却の例外に該当します。2年間の居住条件および所有条件のうち2分の1だけを満たしたため、売却益10万ドルのうち5万ドルだけが免税となり、残りの5万ドルは課税対象となります。
適格該当者
早期売却の原因が、健康、転勤、その他の予期できない事情である場合、例外規定が適用されて減額された売却益が免税となります。適格該当者には、納税者本人や配偶者ばかりでなく、納税者の住住居を日常の住まいとしている同居人、共有名義による住居の所有者を含まれます。
健康
健康が早期売却の原因である場合、子供や孫、親、祖父母、兄弟姉妹、伯父伯母、おいめいなど、納税者の家族や親戚にまで適格該当者の範囲が拡大されます。適格該当者の健康上の理由と医師の勧告による主たる住居の早期売却は、適格売却となり、一部免税が適用されます。単に全般的な健康改善のための早期売却は、健康による例外とは見なされず、住宅売却益の全額が課税対象となります。
転勤
転勤の例外のための安全圏として、納税者の旧住居と新勤務先の間の距離が、旧住居と旧勤務先の間の距離よりも50マイル以上多いことが規定されています。すなわち、勤務先変更のために50マイル以上移転すれば、住居の早期売却は適格売却となり、自動的に一部免税が適用されます。50マイル以上の移転距離を満たしていない早期売却は、原則として転勤による例外とは見なされず、住居売却益の全額が課税対象となります。ただし、50マイル未満の移転距離であっても、新住居への移転が転勤の条件である場合は、転勤による例外となり一部免税が適用されます。
その他の予期できない事情
予期できない事情の例外のための安全圏として、以下の例が挙げられます。
1.政府による住宅の強制退去
2.自然災害、人工的災害、戦争、テロ行為による住宅の破壊
3.死亡、離婚、法定別居、失業保険受給、住居費および基本生活費の支出維持に支障をきたす雇用事情の変更、一度の妊娠による複数産。
予期できない事情が以上の安全圏内であれば、適格早期売却と見なされ、減額された免税が適用となります。
自宅内事務所・自宅賃貸
自宅内事務所または賃貸使用分が住居と同一棟にある物件を売却して売却益が発生した場合、売却益を住居分と事業分に振り分ける必要はありません。自居の一部を事務所または賃貸目的に使用していたとしても、事業分は所得除外対象の「主たる住居」と同一視されるわけです。住居分が2年間の「居住条件」および「所有条件」を満たしている限り、住居分と事業分の合計売却益に所得除外が適用されて免税となります。
事務所または賃貸使用分が車庫、納屋、厩、農地などのように住宅から離れていて、事業使用が売却前5年間のうち3年間以上である場合は、その部分に配賦された売却益は所得除外が適用されず、課税対象となります。住居に配賦された売却益は、「居住条件」および「所有条件」を満たしていれば、所得除外による免税措置が適用となります。ただし、両条件を満たしていたとしても、1997年5月7日以降、減価償却を控除していた場合は、売却益のうち減価償却該当分については課税対象となり、差額分は免税となります。減価償却に該当する売却益は、申告書フォーム1040のスケジュールDに報告し、25%の特別税率で課税されます。