税金相談室
2001年12月5日 23:00:00
住宅ローン支払利子控除

住宅ローン支払利子控除 Q 現在借りている住宅ローンよりも好条件(低利率)のローンへ、リファイナンスして借り替えるつもりです。税金上の取り扱いを教えてください。 A 既存の住宅ローンをより低利率なローンへ切り替えた、いわゆるリファイナンス・ローンの支払利子は、元の住宅ローンの支払利子と全く同じ扱いとなり、項目別控除の一つとして認められます。 支払利子が控除の対象となる住宅ローンとは、次の3条件を同時に満たすローンです。 (1)住宅2軒までとすること。 (2)合計上限借入額を100万ドルまでとすること。 (3)住宅を担保にしたモーゲージ・ローン融資であること。 (1)の「住宅2軒まで」の意味は、納税者および家族が日常的に暮らしている主たる住居(プリンシパル・レジデンス)、およびほかのもう1軒(セカンド・レジデンス)のことです。もう1軒は、別荘やカントリー・ハウスなどのセカンド・レジデンスの中から自由に選択したものです。 (2)の「上限借入額100万ドル」は、2軒分の住宅ローンの合計借入額が100万ドル以下の場合、金融機関に支払った利子の全額について、控除が認められます。合計借入金額が100万ドル超の場合、100万ドルに対応する支払利子は控除できますが、100万ドルを超える部分を対象とする支払利子は、控除が認められないという意味です。 (3)の「住居を担保にしたローン」は、ローン契約書上、住宅を担保物件として設けていて、州の当局にその旨の届け出を行なったローンを指します。 以上の3条件を満たしていれば、住宅の購入、建設、改築のためのローン、およびその借り替えリファイナンス・ローンの支払利子の控除が認められます。 借入金契約に伴って借り手があらかじめ支払う割増利子を、ポイントといいます。リファイナンス・ローンのポイント割増利子の取り扱い上において大切なのは、ローンの取得年度に全額控除は認められず、リファイナンス・ローンの返済期間にわたって、定額法で計算された償却額に基づき、毎年小額ずつ控除される点です。プリンシパル・レジデンスの購入、建設、改築のための住宅ローンのポイント割増利子は、ローンの借入年度に全額控除の対象となります。一方、セカンド・レジデンスのための住宅ローン取得ポイントは、ローンの返済期間にわたって、毎年小額ずつの償却控除の対象となります。 住宅関係のローンに、「ホーム・エクイティー・ローン」があります。このローンは住宅の値上がり含み益を担保にして行なう借入れのことで、その支払利子も控除の対象となります。プリンシパル・レジデンスおよびセカンド・レジデンスの2軒を対象物件としたローンで、借入上限額10万ドルに対応する支払利子です。ホーム・エクイティー・ローン資金の使途には制限がないため、何に費やしても構わないことになっています。 通常、パーソナル・ローンの形で借入れをして車の購入や休暇に費やすと、消費者支払利子となって控除が認められませんが、ホーム・エクイティー・ローン資金をこれらの目的に使うのであれば、支払利子控除が認められるという優遇措置です。 税法上、支払利子の控除が認められるものとしては、さらに投資目的の借入れおよび教育ローン(学生ローン)の借入れがあります。 KPMG特別顧問 米国公認会計士 大島襄