会計相談室
2021年8月27日 14:00:00
会計士の倫理基準

「公認会計士ってのは、えらい厳しい業界のルールに従わなければならないと聞いたが、本当か?」経営者の鬣(たてがみ)はおもむろに会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙(ゆずけん))に聞いた。「公認会計士の業界では、米国公認会計士協会(AICPA)という団体を始め、各州に公認会計士協会があり、それぞれがその団体に所属する公認会計士の行動を規制しています。」「その規則はなんというのじゃ?」「米国公認会計士プロフェッショナル行動規範(AICPA Code of Professional Conduct)といいます。1988年1月12日に採用され、2014年6月まで定期的に改定されてきました。2014年からはコード化(Codification )がされています。」「どうやってその規範は全部の公認会計士が守っていくことができるのじゃ?」「公認会計士はContinuing Professional Education(CPE)というプロとしての継続教育を常に受けていなければ、資格が維持できません。そのCPEでは倫理規定の勉強が義務付けられています。例えばニューヨーク州ではライセンス更新の3年間のうちに4時間、テキサス州では2年間のうちに4時間です。」「ほう、そんなことが義務付けられているのか?」「そうです。基準は常にアップデートされていくので、それについていかなければなりません。」「それで、その規範の原則はなんじゃ?」「6つの原則があります。①責任感(Responsibility):常にプロとしての責任感が求められます。公認会計士協会のメンバー(以下、メンバー)は専門家として敏感でなければなりません。また、道徳に添った判断が全ての場面で求められています。②公益性(Public Interest) :メンバーは公益を提供していますので、一般の人々からの信頼を裏切ってはいけません。常に誰からも信頼されるようなプロとして適切な仕事を遂行しなければなりません。③誠実さ(Integrity) :一般の人々の信頼を広く獲得するために、メンバーはプロとして、最高の誠実さをもって責任を果たしていかなければなりません。④客観性と独立性(Objectively and Independence)メンバーは客観性を保持し、プロとしての責任を全うするために利益相反取引を行ってはなりません。特に会計事務所に所属するメンバーは、監査や調査業務において、事実関係ばかりでなく見た目も独立性を維持しなければなりません。 ⑤専門家としての細心の注意(due care) :メンバーは、専門家として技術的および倫理的基準を遵守し、能力とサービスの質を向上させるために継続的に努力し、メンバーの能力を最大限に発揮して細心の注意をはらい専門家の責任を果たす義務があります。⑥サービスの範囲と性質(Scope of Nature and Service):会計事務所に所属するメンバーは、プロフェッショナル行動規範の原則を遵守し、個々の状況で特定のサービスを提供するかどうかを決定する際に、各行動規範の原則に準拠しているかを検討する必要があります。」「ほう、すごいのう。会計士は」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saikos.com):齊藤幸喜