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会計相談室

2017年5月5日 13:00:00

会計士の仕事

Inage Hawaii

「譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙(ゆずけん))さん、会計士の仕事はたくさんあると思うのじゃが、どんな風に分けることができるのじゃ?」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲謙に尋ねた。


「そうですね鬣さん、会計士の仕事は大きく分けると証明業務と非証明業務に分かれます。証明業務とは他人の作成した決算書などを正しいとか正しくないとか証明する業務です。証明業務では、会計士は公認会計士の職業倫理規則によって必ず独立でなければなりません。もしも、証明業務のほかに非証明業務をした場合には、独立性が脅かされる可能性のリスクが高まります。」


「その独立とやらは、いったい何を言っているのじゃ?」


「独立性とは心の状態を言います。独立性は会計士に客観的で妥協を許さないプロとしての仕事を行わせる重要な要件です。」


「独立性は決算書の仕事の場合にすべて要求されるのか?」


「監査やレヴューでは必ず要求されますが、決算書の作成業務では要求されません。また、コンピレーションというレポート付きの決算書作成業務では、独立性がなくてもサービスを提供できます。」


「そうか、なかなか複雑じゃな。」


「ちなみにその基準では、責任性、公益性、誠実性、客観性と独立性、職業的専門家としての正当な注意、サービスの性質と範囲が規定されています。」


「何か難しいのう。もっと簡単な話にはならんか?」


「そうですね。それでは、証明業務以外で独立性に抵触することがないかお話します。」


「どんな話じゃ?」


「企業評価では、主観的な部分が多いと独立性がないといえます。顧客の決算書に重大な影響を与えるような企業評価もそうです。一方、税務プランニングや相続のための企業評価は独立性には抵触しません。」


「それじゃ、ブックキーピングや給与計算はどうじゃ?」


「ブックキーピングや給与計算は、自分で承認をしている場合や経営判断に加わっている場合には、独立性がないとみなされますが、それ以外の場合には抵触はしません。」


「何か今日はとても難しい話だったわい。」


《執筆者》米国公認会計士 齊藤事務所齊藤幸喜(www.saikos.com, info@saikos.com)

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