会計相談室
2008年1月25日 20:00:00
会計の変更の注意点とは
会計の変更で気をつけなければならない点はなんでしょうか?
会計の変更には3つの種類があります。
①会計原則の変更
②会計上の見積もりの変更
③報告主体の変更です。
会計原則の変更:同一の会計原則を適用することは、財務諸表の利用者に比較可能な財務諸表を提供することによって有用な分析を可能にします。
したがって、会計原則が一旦採用された場合、財務諸表を有用なものとするためには、新たな会計基準書が発行により要求された場合や正当な理由がない限り変更されるべきものではありません。
アメリカでの会計原則とは、FASBのStatement of Financial Accounting Standards, Interpretations, Staff Position, Statement 133 Implementation Issues, Emerging Issues Task Force Consensusesなどをいいます。
会計原則の変更は、複数の会計処理方法が認められている会計原則がある場合で、ある一般に公正妥当と認められた会計原則から他の一般に公正妥当と認められた会計原則へ変更することです。
あるいは、かつて認められていた会計原則が、いまや認められなくなった場合です。
会計原則の処理方法自体の変更も含まれます。
初めての事象に対する会計原則の採用や過去に起きていた事象が重要でなかったため適用していなかった会計原則が重要になったため始めて採用した場合や過去に起きた事象と明らかに異なる取引にたいする会計原則の適用や修正は会計原則の変更ではありません。
会計原則の変更は過去に遡って修正される必要があります。
会計上の見積もりの変更:会計上の見積もり変更とは現在の資産負債の将来に対する変更をいいます。この会計事象の見直しによって、より適切な財務諸表の将来の予測をするために必要になります。
変更は新しい情報によってもたらされます。
例えば、売掛金の貸倒予想額、棚卸資産の減耗額、固定資産の見積もり耐用年数や残存価額、製品保証費用引当金です。会計上の見積もりの変更は、会計原則から影響を受ける場合もあります。固定資産の減価償却方法や償却方法は会計原則の変更と見積もりの変更が切り離せない例のひとつです。償却固定資産の売却損益や除却損益は、耐用年数や残存価額の見積もりが変更されたと考えられるため減価償却費の調整項目とみなされ、販売費および一般管理費の一部となります。これは、償却固定資産の売却損益や除却損益を日本の会計基準が特別損益として扱うことと大きな差があります。会計上の見積もり変更については、過去に遡って修正してはなりません。
報告主体の変更:報告主体の変更がされる場合とは
①個々の会社が連結または合算財務諸表を構成することになる場合
②連結財務諸表上の連結子会社が変更になる場合
③合算財務諸表上の合算会社が変更になる場合です。
以上のような場合、過去に遡って財務諸表を修正する必要があります。
したがって、連結子会社を処分した場合はもともと存在しなかったものとして連結されます。
損益計算書には連結子会社の処分は、事業部門処理損益として継続期間損益とは区分して表示されます。
なお、リストラによる処分損益は販売費および管理費の一部になります。
同じ固定資産の処分でも商業用賃貸ビルディングをいくつも持っていて、それらが、それぞれ別企業で単体でキャッシュフローを生み出している場合には、事業部門処分損益で、事業用資産の一部として保有している固定資産の処分は、減価償却の見積もり修正、または、場合によってはリストラ費用の一部になります。連結一般事業子会社の処分の場合は一般的に事業部門処分損益ですが、もしも、子会社が自立してキャッシュフローを生み出さず、実態のない企業である場合、固定資産処分損益しか生じない可能性があります。
前期以前の財務諸表の間違いの修正:前期以前の財務諸表の間違いの修正は前期損益修正として前期以前の財務諸表を全て修正しなければなりません。
修正財務諸表では
①累計影響額
②期首未処分損益の相殺金額
③前期以前の財務諸表
それぞれの項目の修正金額を開示しなければなりません。
米国公認会計士
齊藤会計事務所 齊藤幸喜