会計相談室
2016年5月2日 13:00:00
会計とレヴュウサービス
「譲矢(ゆずりや)さん、前に新しい会計サービスの基準ができたと聞いたんじゃが、確か今期から従わなければなかったと思ったので、もう一度教えてくれんかのう」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉にいつも通り尋ねた。
「鬣さん、それは、会計およびレビュウ委員会の70号で公表された4つの基準のことです。」
「前に聞いた時には4つもあったかなぁ」
「まず、セクション60が一般基準です。セクション70がプリパレーション基準、セクション80がコンピレーション基準でセクション90がレビュウ基準です。」
「へぇー、そんなにあったのか。すっかり忘れてたわい。」
「これらは、2015年12月15日以降の決算の財務諸表から適用になっています。」
「そうか、やっぱり。それじゃ、各基準を簡単に説明してくれんか?」
「承知しました。まず、セクション60ですが、様々なことばの定義をしています。例えば、エンゲージメントパートナー、エンゲージメントチーム、事務所や専門家としての判断などです。」
「なに、エンゲージメントパートナーとは誰かが相手を見つけて婚約をすることか?」
「違います。ここでは契約や仕事の総指揮をとる会計事務所の共同経営者のことです。」
「うちの会社の場合、譲謙(ゆずけん)さんのことか?」
「その通りです」
「それじゃ、うちに関係のありそうな70について詳しく教えてくれ。」
「70号はプリパレーション(作成)基準のことです。これは文字通り顧客のために財務諸表を作成してあげるサービスです。ただ、この基準は他の会計事務所が監査やレビュウをしている財務諸表作成には適用されますが、自分の事務所が監査やレビュウ、コンピレーションをしている契約のなかでの作成作業には、プレパレーション基準の適用はありません。」
「何かこんがらがるのぉ。同じプレパレーションといっても状況で異なるということじゃな。」
「また、法人税申告書やファイナンシャルプランに添付する場合にはプレパレーション基準は適用になりますが、税務当局に提出する場合やファイナンシャルプランに含めている場合には適用はありません。さらに訴訟サービスや、ビジネス評価サービス中での財務諸表作成も適用外です。また、減価償却表の作成サービス、仕訳作成サービスも適用外です。財務諸表の注記のドラフト作成も適用になりません。会計ソフトを利用した総勘定元帳の作成や支払いサービス等のいわゆるブックキーピングサービスでも適用になりません。会計ソフト外での財務諸表の作成が適用対象となります。」
「なんか結構面倒だな。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com, info@saikos.com):齊藤幸喜