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税金相談室

2001年10月20日 22:00:00

代替ミニマム税

Inage Hawaii

代替ミニマム税 グリーンカードを保持して日本に住んでいるため、アメリカでも所得税の申告書を提出しています。連邦所得税は、日本で支払った税金を外国税額控除の形で相殺できるため支払いは生じないと思っていたところ、実際には税金支払いを必要とすることになりました。なぜですか? 代替ミニマム税( Alternative Minimum Tax 、略称AMT)という税金の計算上、外国税額控除が制限されて税金の支払いが必要となる場合があります。通常の所得税の計算過程で、項目別控除、免税債利子、加速度減価償却、人的控除、外国税額控除などの減税恩典を多額に受けることによって税金の軽減が達成できます。これらの減税のための優遇措置を多額に受けたすべての納税者は、AMT の計算によって発生する税金を追加支払いする義務があります。 AMTの計算の出発点は、通常の所得税の課税所得であり、その金額に以下のうち該当する優遇措置項目を加えて、AMT課税所得を算出します。 ・人的控除 ・概算額控除 ・項目別控除のうち諸税金、医療費、エクイティー・ローンの支払利子、勤務活動経費、投資関連経費 ・加速度減価償却が定額法減価償却を超える額 ・免税債の利子 ・繰越欠損金の調整額 次に、AMT課税所得からAMT免税額(01年の金額)を控除します。 ・夫婦合算申告・生存配偶者    4万9000ドル ・独身・特定世帯主    3万5750ドル ・夫婦個別申告    2万4500ドル AMT免税額によって、低額所得者は通常の所得税の計算上、優遇措置をどんなに多く取っても、代替ミニマム税が発生しません。 AMT免税額控除後の金額に、26%、28%の2段階のAMT税率を適用して暫定AMTを計算します。その金額から外国税額控除を差し引くことができます。問題は、AMT外国税額控除は暫定AMTの90%までしか認められないことです。外国税を多額に納付したため、通常の所得税の計算上、外国税額控除によって所得税がゼロになったとしても、AMTの計算上、AMT外国税額控除90%までという制限のため、代替ミニマム税の支払いを必要とすることになります。ご質問のグリーンカード保持者の場合、「海外役務所得控除」(01年度は7万8000ドル)と外国税額控除により、通常の連邦所得税は生じなかったのに、代替ミニマム税の計算上、外国税額控除の一部否認のため連邦税の支払いが必要となったわけです。 なお、アメリカで支払ったこの税金は、日本の所得税計算上、外国税額控除が認められます。 KPMG特別顧問 米国公認会計士 大島襄

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