税金相談室
2025年6月20日 13:00:00
他の州に本拠地を移す方法

「譲謙(ゆずけん)さん、友達の会社の本社がマサチューセッツ州にあるんじゃが、お客様がミシガン州に移ってしまったので、ミシガン州に本拠地を移してしまいたいと言っておるんじゃが、そんなことができるんかのう?」会社経営者の鬣(たてがみ)が会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称;譲謙)におもむろに尋ねた。
「はい、3つの方法が、あります。」
「ほうそれは何じゃ?」
「まず、ある州からある州に本拠地を法律上移す方法です。次に本拠地のある州の登録を抹消して、新しい州で本拠地を登録し直す方法です。3つ目の方法は本拠地を動かさずに他の州で州外法人(Foreign Corporation)として登録する方法です。」
「そんなにあるのか?いったいどうやってやるのじゃ?」
「1つ目の方法は、まずは、マサチューセッツ州でCharter Surrenderという手続きを行い、まずはマサチューセッツ州の州内法人(Domestic Corporation)から州外法人に転換します。」
「日本で言うところの転出手続きのようなものかの。」
「その後、ミシガン州で州外法人から州内法人への転換(Conversion)手続きを行います。」
「日本で言うところの転入手続きのようなものかのう。」
「2番目の方法は、元々の州の登録を一旦抹消してしまうものです。」
「それは会社を清算してしまうことか?」
「はい、そうです。それから、新しい、州で新たに会社設立手続きを行います。」
「それって、生まれ変わることと同じだな。」
「3番目の方法は、他の州に単純に州外法人として登録する方法です。」
「それは明らかに簡単な方法じゃの。それで、それぞれの長所と短所はなんじゃ?」
「1番目の方法の長所は会社自体に何の変更もないという事です。ただ単に本拠地が移転することになります。元の場所にも跡が残りません。短所はややコストがかかるということです。」
「それはすっきりしていてわかりやすいの。」
「2番目の方法は、長所は全く新しい会社になるということです。フレッシュスタートにはよいと思います。こちらは会社の清算手続きと会社設立手続きの2つの手続きが必要になるので、時間とコストがかなりかかります。」
「それは今までのことを全て忘れて新しくスタートするにはよいな。」
「3つ目の方法は、今までの会社の本拠地の州の登録には何も変更せずに他の州に州外会社としての登録手続きをするだけです。手続き自体は非常に簡単でコストもかなり抑えられます。」
「それじゃ、どんどん登録していけばいいんじゃな。」
「ただし、それらの登録を後で抹消する場合には、それなりの時間とコストがかかります。さらに登録している州では原則として法人税の申告書を申告しなければならない可能性が高くなります。」
「ほう、よくわかった。ありがとう。」
米国公認会計士齊藤事務所(Saito LLP):齊藤幸喜 (www.saitollp.com, info@saitollp.com)