会計相談室
2020年11月27日 17:00:00
事務所探し

事務所探し
「譲謙(ゆずけん)さん、わしの友達がアメリカで事務所を借りようとしているんじゃが、どうアドバイスしたらよいかのう」
会社経営者の鬣(たてがみ)が会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称:譲謙)に聞いた。
「一般的にアメリカで不動産エージェントを使ってオフィスを探す場合には、原則として代理人契約を結ばない限り、物件の紹介はしてくれません。しかし、日系の不動産会社のなかにはエージェント契約を結ぶ前に物件を紹介してくれるところもあります。この場合、物件を見てから代理人契約を結ぶことになります。そして物件が見つかった時には、まず手付金を支払います。手付金を支払わなければ、その物件を押さえておくことはできません。
その後、契約書の作成に入ります。契約書は最も重要な書類になります。アメリカでの不動産契約は書面でサインしたもののみが法律上有効であり、法的な拘束力は絶対的です。英語がわからないからといってよく見もせずに安易にサインをしてしまうと、たとえ内容に理不尽な条項が書いてあったとしても覆すことはほとんど不可能です。したがって、契約する前に必ず自分の契約書を確認するために弁護士を雇い、契約書に不合理な点がないかどうか隅から隅まで確認をしてもらう必要があります」
「そうか、それじゃ、日本のように間に共通の代理人をたてるということはしないんじゃな。」
「そうです。決して貸主と借主で同じ弁護士を雇うことにならないように注意してください。そして、契約書で不合理な点の削除や自分の主張したい点は弁護士を通じて全てをあらかじめ盛り込む必要があります。何度も何度も貸主である大家側と交渉し、修正を重ねて最終の契約書ができあがります。最後にサインする時には、必ず自分で読み返して納得してからサインしてください。ちなみに州ごとに不動産に関する規定が異なり、地域によって不動産市況や事情も異なるため、不動産エージェントや弁護士はその地域の不動産専門の人を雇いましょう。
2020年のコロナ禍によって、リモートワークが通常の仕事環境である会社が増えると事務所探しの方法や目的もかなり大きく変わる可能性があります。
リモートワークがメインであれば、従業員が全員働ける広さが必要なくなります。郵便を受け取とるメインの住所をどうするかということとメインの電話番号にかかってきた電話を各従業員に自動的に転送できるサービス、それに各従業員からお客様にかけた電話があたかもメインの事務所からかけてきたようにできるようなサービスが求められるようになるかもしれません。バーチャルオフィスの重要性がますます増してくるかもしれません。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.sairtollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜