会計相談室
2016年10月20日 13:00:00
不正行為の報告のアップデート
「謙譲(ゆずけん)さん、また、友達の会社で使い込みが見つかったそうじゃ、最近の企業不正についてアップデートしてくれんか?」
「最近のものですと2016年に企業内不正調査のレポートが公表されています。調査期間は2014年1月から2015年10月です。」
「ほう、どんな内容だったのじゃ?」
「まず、解説を始める前に不正の種類について話したいと思います。不正には賄賂や資産の横領、財務諸表の改ざんなどがあります。」
「ほう3種類か?それぞれどんなんか教えてくれんか?」
「はい、まず賄賂ですが、購買スキーム、販売スキーム、キックバック、入札談合、などがあります。資産の横領では、現金関係では、手元現金の着服、回収現金の着服、現金売り上げを一切帳簿に計上せず着服してしまうスキミング、請求金額の水増し、架空従業員の登録による給与の詐取などがあります。棚卸資産関係では、商品の私用や横領などがあります。財務諸表の不正では、期ずれ計上、架空売上、負債や費用の隠匿、資産の水増し、不正な開示、売上の過少計上、負債や費用の水増し計上、などがあります。」
「いろいろあるなぁ。ところで、不正は主に誰が犯すのじゃ?」
「その答えですが、不正は誰でも犯す可能性があります。すなわち経営者、マネージャー、従業員のすべての階層で不正は起こりえます。不正の中でオーナー経営者やエグゼクティブの占める割合は18.9%です。不正な金額の平均は$703,000で、約24か月目で起きています。マネージャークラスでは38.8%で、不正金額は$173,000で、18か月で起きています。一般の従業員は$65,000ですが、40.9%と最も起きる率は多くなっています。」
「産業別ではどうじゃ?」
「贈収賄のデータでは、鉱山業がトップで55.0%、プロフェッショナルは最も少なくて16.7%となっています。」
「不正を防ぐ手段としては何があるのかの?」
「財務諸表の外部監査や、行動規範の策定、内部監査室の運用、経営者の宣誓書の入手や内部統制の外部監査などがあげられます。」
「それじゃ、不正はどうやって発見されるのじゃ?」
「内部告発が最も多いです、以下、内部監査、経営者の調査、まったくの偶然、勘定の整合性調整、書類調査、外部監査、法律上の報告、モニタリング、ITコントロール、自白と続きます。」
「それじゃ、事前に不正が起きていることを察知する方法はないか?」
「あります。これも多い順に言いますね。身分不相応な暮らしぶり、経済的な困窮、仕入れ先や得意先との癒着とも思える付き合い、自分はやり手であるというような態度、他の従業員と共同作業をしたがらない、などです。特に最初の3つがほとんどです。」
「なかなか勉強になったわい。友達に知らせてあげよう。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com, info@saikos.com):齊藤幸喜