会計相談室
2020年9月25日 16:00:00
リースACS842
リースASC842-10
「譲謙(ゆずけん)さん、わしの友人がリースビジネスを始めると言っているんじゃが、会計処理を教えてくれんか?」
会社経営者の鬣(たてがみ)はおもむろに会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙)に聞いた。
「新しいリースの会計では、資産を使用する権利のことと定義されます。権利なので、資産として計上することが求められます。」
「自分のものではないのに資産計上するのか?」
「はい、借りている資産そのものは所有していないかもしれませんが、借りて使用する権利自体は会社が所有しています。」
「ふむふむ、なんかわかるようなわからないようなものじゃな。」
「新しいリース会計では、リースがいろいろな種類に分類されます。借り手がファイナンスリースとオペレーティングリースに分かれます。貸し手はオペレーティングリースと、セールスタイプリース、ダイレクトファイナンシングリースに分かれます。」
「なんかいろいろなリースがあるんじゃな。借り手と貸し手をそれぞれ教えてくれ。」
「借り手は12か月以下の短期のリースを除き、Right-of-use資産とLease liability負債を計上することになります。」
「それからどうなるんじゃ?」
「オペレーティングリースでは、リース費用が定額で計上されていくのと同時にRight-of-use資産とLease liability負債の両方から元本支払い分の金額が減額されていきます。ファイナンスリースではものを借入金をして買ったと同じと考えるのでLease liability負債に関する利息が計上され、Right-of-use資産の償却費が定額計上されていきます。」
「現在の会計処理との違いはなんじゃ?」
「現在の基準ではオペレーティングリースでは資産や負債は計上せずキャピタルリースのみが資産購入とみなし、資産と負債を計上しますが、新しい基準ではいずれにしてもRight-of-use資産とLease liability負債の計上をしなければばりません。」
「それじゃ、貸し手の処理はどうするのじゃ?」
「貸し手では、オペレーティングリースは、リース料を定額法で計上します。セールスタイプリースはメーカーや商社など販売業者が製品や商品を割賦で販売したとみなされるので、在庫リスクを負うため、リース債権、売上、売上原価、売価した資産の控除が計上されます。ダイレクトファイナンシングリースでは、貸し手に在庫リスクがなく、リース会社が借り手にお金を貸した取引とみなされるので、純投資額、利息収入、リース債権、残存資産などが計上されます。」
「何かむずかしいのお。」
「大丈夫です。わたしがついています。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜