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税金相談室

トランプ大統領の新税法(OBBBA – One Big Beautiful Bill Act)

2025年11月7日

トランプ大統領の新税法(OBBBA – One Big Beautiful Bill Act)

トランプ大統領の新税法(OBBBA – One Big Beautiful Bill Act)

①     州・地方税控除 SALT Tax Deduction

 

トランプ大統領の前就任時に施行された非常に大きな節税をもたらした2017年税制改革法(Tax Cut and Jobs Act, “TCJA”)は、数多くの減税策を導入しましたが、予算との兼ね合いで2025年度で無効になる時限立法でした。年内で無効になる税法の殆どを延長、もしくは、恒久化し、また、新たに節税をもたらす税法改定を施したのが今年の独立記念日である7月4日に署名され施行された新税法(OBBA)です。


新税法については全体の主要な項目をまとめたニュースレターを作成し皆様にお送りしていますが、これからのニュースレターでは一つずつ細かく内容を見ていきたいと思います。


今回は項目別控除内における州・地方税控除の制限額拡大(SALT Deduction)についてです。


州・地方所得税、固定資産税、動産税は、項目別控除(Schedule A)で州・地方税として控除申請ができる項目の一つです。TCJA以前は、州・地方税控除は制限がなく申請できていましたが、TCJAにより2018年以降は最高1万ドルまで(夫婦個別申告者は半額の5千ドル)しか控除の申請が認められていませんでした。高額所得者、また、所得税率の高い地域(例えばカリフォルニア州や、ニューヨーク市等)に居住する納税者にとって、この制限は必然的に税額の増加を意味し、多くの納税者が従来自身で納めていた州・地方税を控除が取れることで税恩恵を受けていたものが、はく奪され多くの痛手になっていました。これにより州・地方税率の低い州へ移動する納税者も増え、カリフォルニア州やニューヨーク州からは控除額制限の撤廃を促すロビー活動が多く繰り広げられてきました。


新税法では、2025年度の控除額を現行の$10,000から$40,000(夫婦個別申告者は半額)に引き上げ、控除額も2026年~2029年度にかけて毎年1%ずつ増額する予定です。調整総所得(ほぼ年収に相当)が$500,000(夫婦個別申告書は半額、毎年1%ずつ増額予定)を超えると、超過額の30%相当額が控除額より減額されます。ただし、所得が高いためにかなり控除額が減額されてしまう場合でも最低1万ドルの控除は申請が可能になります。2025年から2029年の時限立法ですが、税額への影響は大きなもので、例えば40万ドルの課税所得がある納税者で4万ドルの州・地方税を支払っていると仮定した場合、従来の1万ドルの控除と4万ドルの控除では、税額で$7,200(実効税率を24%と仮定、控除額の差額の$30,000 x 24%)もの減税をもたらします。


シニア・タックス・アドバイザー 齊藤美智子


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