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税金相談室

2007年1月3日 14:00:00

チップ収入の報告と課税

Inage Hawaii

質問:レストランでウェイターとして働いています。チップ収入にも税金がかかるのでしょうか?  


答え:チップ収入は給与所得と同じく、所得税およびFICA税(ソーシャル・セキュリティー税とメディケア税)の対象となります。チップ従業員と雇用主にチップの記録や報告、納税の義務があります。  課税対象所得 チップ収入は給与所得と同じく、所得税およびFICA税(ソーシャル・セキュリティー税とメディケア税)の対象となります。ウェイター、ウエイトレスだけでなく、美容師、理髪師、マッサージ師、ホテル従業員、タクシー・ハイヤー運転手、観光ガイドなど、チップ収入のあるサービス業従事者は、金額の大小に関わりなく、受け取ったチップの全額が課税対象となります。  チップ記録と報告 従業員はチップの受領金額を毎日記録し、保存する義務があります。フォーム4070A (Employee’s Daily Record of Tips) またはこれに準じた様式に、顧客からの直接受取額および他の従業員からの間接受取額、クレジットカード・チップ、他の従業員への分割支払額などを記録します。月初から月末までを集計した金額がその月のチップ合計額です。従業員は雇用主(レストラン)へチップ合計額の報告を、書面またはコンピューターで行います。フォーム4070 (Employee’s Report of Tips to Employer) またはこれに準じた様式に、現金チップ、クレジットカード・チップ、他者への分割支払額、当月合計額を記入し、翌月の10日(休日の場合は次の営業日)までに提出します。レストランによっては月一度よりも頻繁に報告を求める場合もあります。  チップ収入の雇用主への報告を怠った場合は、年度終了後、従業員は個人所得税申告書に未報告チップ、およびソーシャル・セキュリティー税とメディケア税を報告して納税しなければなりません。この計算は、フォーム4137 (Tax on Unreported Tip Income) で行い、申告書に添付提出します。また、ペナルティーとして、未報告チップのソーシャル・セキュリティー税およびメディケア税の50%相当額が課されます。  源泉徴収 各従業員からチップ金額の報告を受けた雇用主は、通常の給与と同様、チップ金額に対する所得税およびFICA税の源泉徴収を行い、FICA税の雇用主負担分を加えて、合計額をIRS(内国歳入庁)へ納付します。源泉徴収額は各従業員へ支給した給与から差し引きます。レストラン従業員の時給は、労働基準法に基づく最低賃金であるため、通常、給与金額ではチップのための源泉徴収額をカバーすることはできません。このため、従業員が任意で源泉徴収額に充当するための金額を拠出する場合もあります。  雇用主(レストラン)が年明けに発行する源泉徴収票フォームW-2に、チップ金額、連邦・州所得税、FICA税の源泉徴収額およびFICA税の不足額が記載されます。FICA税の不足額がある場合は、年度終了後、従業員が個人所得税申告書に自ら報告して、追加納税をする必要があります。  チップ概算額の報告 チップ従業員を10人以上雇っている「大規模レストラン」(Large Food Establishment)は、レストランの売上金額に一定率を掛け合わせてチップ概算額を算出して、IRSへチップ概算額に関する情報報告書を提出する義務があります。税法上、一定率とは8%を指します。この目的上、フォーム8027(Employer’s Annual Information Return of Tip Income and Allocated Tips) に必要事項記入して提出します。  チップ概算額がチップ報告合計額と同額以上である場合は問題ありませんが、チップ概算額がチップ報告合計額を上回る場合は、従業員からの報告が不十分であったと見なされ、不足額を各従業員に割り当てなければなりません。チップ割当額は源泉徴収票フォームW-2の所定箇所(Box 8)に記載されます。年度終了後、従業員の個人所得税申告書に、チップ割当額を所得として報告してFICA 税の追加納税をします。この計算は、フォーム4137(Tax on Unreported Tip Income)を添付して行います。  法人税の税額控除 雇用主(レストラン)が負担した従業員チップにかかるFICA税は、法人税の計算上、税額控除が認められます。フォーム8846 (Tax Credit on Employee Tips) 参照。 

 



米国公認会計士 大島襄

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