会計相談室
2013年9月3日 13:00:00
セクショナリズム
「譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)さん、前に教えてもらった通り、うちは部門別、地域別、営業マン別の損益計算書を作成して、毎月報告会を開催し各従業員の業績評価を始めたのだが、どうも最近社内の雰囲気がおかしいのじゃよ。」鬣(たてがみ)はいつものように自分の疑問を譲矢に投げかけた。
「どのようにおかしいのですか?」
「何かぎすぎすしているというか、以前のようなアットホームのような暖かい雰囲気が会社になくなってきたんだ。」
「例えば、どのような時に感じますか?」
「みんなで飲み会に行ったときに飲み代をどの部門がつけるかで、たらい回しになったり、ささいな経費もどうやって各部門に按分するか大問題になったりしている。」
「そうですか。それはセクショナリズムですね。」
「セクショナリズム?セクハラか?俺は決してセクハラはしていないぞ。」
「鬣さん、セクハラとは何の関係もありません。セクショナリズムとは、各部門(セクション)または、個人が自分または自部門の業績を最大にすることのみを考えるばかりに起こるエゴです。各個人または部門の成績を厳格に数値で表し、それに基づいて個人や部門の評価を行えば行うほど、セクショナリズムは起こりやすくなります。つまり、自分だけがよければよい、周りのみんなはどうなっても構わないし、関係ないという感情を持ってしまうことです。これは、組織にとってはとても危険な状態です。たとえ、ある特定の個人や部門の業績は上がっても会社全体の業績は上がらなくなります。このようなエゴをむき出しにしていては、会社は従業員の力を結集してすばらしい力を発揮することは難しくなります。セクショナリズムがエスカレートして、従業員同士の信頼関係が崩れてしまった場合、その会社の行く末は悲惨なものになることは明らかです。」
「じぇじぇ、それは大変だ。一刻も早く何とかせんと!どうすればいい?」
「従業員の皆さんが全員納得できる会社の目標または理念をもつことが必要となります。また、それだけではだめで、それを鬣さん自ら、従業員にわかってもらえるように誰にも負けない努力をして伝えていかなければなりません。」
「従業員全員が納得できる目標か?それなら、これはどうだ。{会社は従業員全員の幸せを追求するためにあるものであり、誰か特定の従業員や部門のみが幸せになるものではない。もちろん、わしだけの幸せのためでもない。}」
「すばらしい。鬣さん、がんばってください。応援してます。」
米国公認会計士齊藤事務所:齊藤幸喜