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会計相談室

2015年4月27日 13:00:00

コンピレーション基準の変更

Inage Hawaii

「譲矢(ゆずりや)さん、うちの会計士から金比羅山(こんぴらさん)基準が変わったと聞いたんじゃが、何かの?」「鬣(たてがみ)さん、それは、こんぴらさん基準ではなくて、コンピレーション基準ではないですか?」経営者の鬣の質問に会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、じょうけん)が答えた。


「コンピレーション基準は、会計士がコンピレーションをする時のルールです。コンピレーションとは、製本という意味ですが、会社の依頼にしたがって、会計士が財務諸表作成のお手伝いを行う仕事です。」


「財務諸表とは何だ?」


「財務諸表とは貸借対照表(Balance Sheet)や損益計算書(Income Statement)のことです。」


「そうか、うちの会計士も財務諸表を作ってくれているぞ。それじゃ、コンピレーションをしてくれているということかな。」


「その財務諸表には会計士のレポートがついていすか?」


「偶然、今、持っているのじゃが、見てみるか。あれ、レポートがついていないぞ。」


「そうですか。それでは、鬣さんの会社が受けているサービスはプレパレーションです。」


「何、プレハブ?」


「プレハブではありません。プレパレーションです。作成という意味です。会計士が会社のために財務諸表を作成するサービスをいいます。これが、今回の改正で増えた基準です。」


「何でそんな基準が増えたんだ?」


「財務諸表作成に関して電子化の流れが背景にあります。一昔前までは、誰が財務諸表を作成したのかは明確にわかりました。しかしながら、現代のように電子化が進みクラウドコンピューティングまで出てくると財務諸表は会社が作成したのか、会計士が作成したのか、はたまた、コンピュータが作成したのかはっきり分からなくなってきています。」


「ほう、そうか?」


「そこで、以前の基準は誰が財務諸表を作成したのかで分けられていましたが、今回の基準は、何のサービスを提供しているかで分けることになりました。そこで、プレパレーション基準ができたのです。」


「具体的に何が違うんだ?どちらも結局は財務諸表を作るんじゃろ?」


「そうです。見た目の大きな違いは、会計士のレポートがつくかつかないかです。プレパレーションではレポートはつきませんが、コンピレーションではつきます。プレパレーションの財務諸表の表紙にはどの会計基準が使用されているのかを記載しなければならず、各ページには全く証明業務を行っていない旨を明記しなければなりません。コンピレーションはプレパレーションよりも少し格上で、手続きが基準でいろいろと定められている上に、会計士のレポートが必ずつきます。なお、コンピレーションのレポートもこの変更に合わせて大きく様式が変わります。」


「ふむふむ、何かわかったようなわからないようなだぁ。ところで、いつから変わるのじゃ?」


「この基準は2015年の12月15日以降の決算日の財務諸表から施行されます。」


米国公認会計士齊藤事務所 (SAITO LLP):齊藤幸喜

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