会計相談室
2025年6月29日 13:00:00
キャッシュフローステートメント

「譲謙(ゆずけん)さん、うちの会社のキャッシュフローステートメントってのを見せられたんじゃが、一体何じゃ?」会社経営者の鬣(たてがみ)がおもむろに会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称:譲謙)に尋ねた。
「キャッシュフローステートメントというのは、会社のキャッシュの流れを表しているものです。」
「へー、一体どんな風に表すんだ?」
「会社の動きを経営活動と投資活動、それに財務活動に分けて表します。」
「ほう、それはわかりやすいな。経営活動は何となくわかるが、どんなものじゃ?」
「経営活動は、会社のメインの商品やサービスの売買やその活動に伴って使った経費のキャッシュの増減を表します。」
「経営活動は損益計算書でわかると思うんじゃが、それがキャッシュの流れとしてわかるのか?」
「はい、損益計算書のNet Incomeが経営のキャッシュフローの根源ですが、そのNet Incomeには様々なノンキャッシュフロー項目が含まれています。それらを加算減算して取り除き経営活動のキャッシュフローを計算して表示します。」
「ちょっとわからんのう。具体的にいうとどんなことじゃ?」
「例えば、売掛金で商品を売ると売上が上がるので、Net Incomeは増加しますが、その売掛金が回収されないとキャッシュは増加しません。そこで、未回収の売掛金はNet Incomeから減算して計算します。」
「ほう、そういうことか、わかった。それじゃ、投資活動はなんじゃ?」
「投資活動の具体例は固定資産の購入や売却による現金の支出金額や収入金額です。また、Time Deposit(定期預金)の購入金額や満期受取金額も投資項目です。」
「Time DepositはCashではないのか?」
「はい、3か月未満のTime Depositや3か月超でもいつでもフリー(ただ)で解約できるものはCashと同等物として扱われます。しかしながら、3か月以上のTime Depositで途中解約にコストがかかるものは投資となります。」
「わしの会社ではTime DepositなんかはずっとRenewalして預けっぱなしで、利息が増える以外現金の増減はないんじゃが、それはネット表示でええんかのう?」
「会計基準ではグロス表示で行うことを推奨しています。しかしながら、多額で90日未満の早い期間の入出金はネット表示も可能となっています。」
「そうか、うちのは1年満期だからネットはできんな。」
「ちなみに投資活動のキャッシュフローが合計でマイナスであれば、投資活動が活発に行われていることを意味します。」
「最後の財務活動とはなんじゃ?」
「財務活動は主に企業の資金集めです。例えば増資や社債の発行による資金の流入金額や借入金の増加金額や返済金額を計上します。ちなみに財務キャッシュフローがマイナスな場合には、将来の投資や事業拡大のための資金調達が行われていることを意味します。」
「これはわかりやすいのお。うちも、今度設備投資するために銀行から借入金をしたので、ここに表示されているのじゃな。」
「はいその通りです」
「よくわかった。ありがとう。」
米国公認会計士齊藤事務所(Saito LLP):齊藤幸喜 (www.saitollp.com, info@saitollp.com)