会計相談室
2020年11月9日 17:00:00
アメリカの年金の受け取り
アメリカの年金の受け取り
「譲謙(ゆずけん)さん、わしの日本人の友人が日本に帰国して、アメリカの年金を受け取り始めるのじゃが、税金をどう納めるのか聞いてきておる。教えてくれんか?」
会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称譲謙)に聞いた。
「どのような年金ですか?」
「アメリカのソーシャルセキュリティとアニュイティ、それに401(k) Pensionと言っていたな。」
「そんなにあるのですか?それでは年金生活は充実していますね」
「そのはずなんじゃが、税金のことがわからないらしい。」
「そうですか。まず、ソーシャルセキュリティ(SS)ですが、SS事務所に海外に引っ越すことと海外で受け取ることの手続きを済ませておく必要があります。それによって、SS事務所は公的年金を海外の口座に送金してくれます。翌年1月にはForm SSA-1042S(Social Security Benefit Statement)が日本に送られてきます。」
「それで申告はどうすればよいのじゃ?」
「日本人は日米租税条約17条により、居住国である日本で雑所得として申告をすることになります。」
「アメリカではどうすればよいのじゃ?」「アメリカでは申告をする必要はありません。」
「それは簡単じゃな。」
「はい、公的年金は出国前に適切な海外移転の届け出をしておけばそれほど難しくありません。」
「401(k)はどうじゃ?」
「401(k)などの企業年金や個人年金は、金融機関にFormW-8BENを提出し適切な処理をしていればForm 1099Rが発行されず、公的な年金と同様に日本での申告のみが必要になります。」
「もう1人、わしのアメリカ人の友人も日本に住んでいるのじゃが。申告方法は同じか?」
「アメリカ人やグリーンカード保持者は取り扱いがかなり異なってきます。日本でもアメリカでも税務上は居住者になってしまうためです。」
「どんなふうになるのじゃ?」
「その方たちは日本でもアメリカでも年金を申告しなければなりません。SSベネフィットもたとえ日本に住んでいてもForm SSA1099(Social Security Benefit Statement)を受け取りますし、私的年金はForm 1099Rを受け取ることになります。そして、それぞれに申告した税金を外国税額控除として相手の国の申告書から控除することになります。」
「なんじゃ、急激に難しくなるのう。」
「その通りです。外国税額控除も外国控除申告書(Form 1116)のうち、レソース(re-sourced by treaty)という特殊なboxを使うことになります」
「何か難しいのう。それで税金はかなり違うのか。」
「人によってはかなりの節税になります。」
「わかった友人に言っておく。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜