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会計相談室

2014年10月28日 13:00:00

アメリカの会社組織にはどんな種類があるのか? その2

Inage Hawaii

前回のあらすじ:会社社長の鬣(たてがみ)は、日本の友人からアメリカに会社を創って進出したいと相談され、会計コンサルタントの譲謙(ゆずけん)に尋ねました。


譲謙は、前回、駐在員事務所、支店、株式会社について説明をしましたが、今回はその続きです。「鬣さん、次にSコープ、LLCとパートナーシップについて説明したいと思います。Sコーポレーションとは、法律上は株式会社ですが、税法上のSコーポレーションとしての選択を行うことにより課税上の優遇を受けられる会社です。Sコーポレーションでは、株式会社の有限責任を取り込みながら、二重課税を避けることができるという長所がありますが、非居住の外国人が株主にはなれないことや外国法人を含む法人がS法人の株主にはなれないなどという制限があります。」


「それじゃ、日本の友人はこの形態はとれないなぁ」


「次にLLCですが、法律上は株式会社の株主に相当する出資メンバーが有限責任であると同時に税務上はLLC自体に納税義務はなく、その出資メンバーのみが個人で納税義務を負うという大変すぐれた法人組織です(パススルー課税)。選択をすれば通常の株式会社と同様な法人課税も選ぶことができます。現在、LLCは米国で設立される事業体としては最も多い形態となっています。」


「これはいい。これしかないな。さっそく友人に連絡をしよう。」


「ちょっと待ってください鬣さん、日本の居住者や日本法人が米国LLCの直接の出資者になる場合、日本にいながら米国に申告するといった作業が必要になりますので、結構、厄介なことになりますよ。」


「確かに日本にいながら申告書を提出するとなるといやがるだろうなぁ。」


「最後にパートナーシップですが、個人事業が2つ以上集まって経営を行う経営形態です。長所として、パートナーシップの利益については課税されず、各パートナーが各自の利益に対してのみ課税されることがあげられます(パススルー課税)。短所は、ジェネラル・パートナー(無限責任パートナー)が、自営業の場合と同様、債務やリスクに対して無限責任を負うことです。有限責任パートナーは出資の限度までしか責任を負いません。」


「アメリカのような訴訟社会で無限責任をとることはないな。ありがとう譲謙さん、友人に知らせておくよ」解説)米国進出形態は複雑です。専門家のアドバイスを受けましょう。


米国公認会計士齊藤事務所:齊藤幸喜

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