会計相談室
2014年9月29日 13:00:00
アメリカの会社組織にはどんな種類があるのか?
「譲謙(ゆずけん)さん、日本の親友が今度アメリカに会社をつくって進出をしたいと言っているのじゃが、アメリカの会社組織には、どのような種類があるのかのう?」会社社長の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙=ゆずけん)に尋ねました。
「アメリカへ進出する場合には、駐在員事務所、支店、株式会社、Sコープ、LLC(リミテッド ライアビリティ カンパニー、パートナーシップが考えられます。」
「いっぱいあるなぁ。何がどうなっているのじゃ?」
「かなり多いので、今回は駐在員事務所、支店、株式会社について説明したいと思います。駐在員事務所は、米国に進出する日本企業の最もシンプルな進出形態です。駐在員事務所は、連邦法人税の課税対象にはなりませんが、州税の適用があります。駐在員事務所は米国において準備作業や補助的な活動のみを行います。駐在員事務所と支店は法的な形態と責任は同じですが、駐在員事務所と支店との違いは、支店は米国内で事業活動を行うことです。事業活動とは、資金の運用や調達、商品の販売、商品の保管維持、役務の提供、アフターサービスや修理などをいいます。支店については日本の会社が米国の支店の部分についてのみフォーム1120Fを用いて連邦法人税の申告を行う必要があります。支店は、連邦に加えて州の法人税の申告もすることになります。州税は、州法に規定されるので、計算方法が州によって異なってきます。連邦法人税の課税所得をもとに計算する場合もありますが、全く異なる計算で課税所得を計算する場合もあります。駐在員事務所や支店の長所は日本で駐在員事務所や支店の経費を本社の経費として取り込めることですが、欠点は、税務調査や法律上の訴訟に巻き込まれた場合、日本本社も巻き込まれる可能性があることです。株式会社は、基本的に日本の株式会社と同じ仕組みです。本社とは別の法人格を米国内に設立し、その組織を通じて米国内において商業活動を行います。株式会社は、所有者である株主と経営者である役員・取締役が分離されています。事業の運営は経営者が行うことになります。株式会社の長所は、株主の責任が出資額までに限定されることです。株式会社の税務は、会社が株主とは分離独立した法人格として扱われるため、法人自体の所得の計算を行い、連邦および州の法人所得税を納税することになります。」
「ふーむ、なかなか難しいのぉ」解説)米国進出形態は複雑です。専門家のアドバイスを受けましょう。
米国公認会計士齊藤事務所:齊藤幸喜