top of page
Topics
会計相談室

【アメリカ起業、会社設立】アメリカからの撤退方法

2026年10月31日

【アメリカ起業、会社設立】アメリカからの撤退方法

Q.アメリカから撤退する方法を教えてください。

 

A.アメリカからの撤退には、法律的な手続きや従業員のための

手続きなど様々な手続きがあります。

 

 アメリカに進出した日本企業が、収益性の低下、オペレーション上の課題、市場戦略の見直し等を理由に撤退を決定するケースがあります。撤退に際しては、法的・税務的手続き、従業員の対応、契約破棄の処理など多岐にわたる業務が発生します。2025年時点での最新情報に基づき、アメリカからの撤退に必要な主要手続きの流れについてご説明します。

 

1.   撤退の全体スケジュールと注意点

●        必要期間の目安:最短で約3ヶ月、1年〜2年かかるケースもあります。

●        外部専門家の活用:弁護士、会計士、人事コンサルタントなどとの連携が重要です。

●        訴訟・契約・従業員問題に注意:拙速な処理は訴訟リスクを高め、清算が遅れる可能性があります。

 

2.   法的手続きの流れ

(1) 清算決議とForm 966の提出

●        法人の清算(解散)決議後、30日以内にForm 966(Corporate Dissolution or Liquidation)をIRS(内国歳入庁)に提出します。

 

(2) 最終法人税の申告

●        清算対象年度のForm 1120(最終法人税申告書)を提出します。

●        必要に応じてForm 1099やForm 5472(外国関連者との取引報告)も含まれます。

 

 (3) 州レベルの清算手続き

●        州務長官(Secretary of State)へ清算書類を提出(Certificate of Dissolutionなど)する必要があります。

●        州税務署から「Tax Clearance Certificate」(税務完了証明)を取得する必要があります。

※営業していたすべての州で個別に処理が必要です。

 

3.   従業員の処遇対応

(1) 通知義務と雇用終了手続き

●        WARN法(Worker Adjustment and Retraining Notification Act)により、一定規模以上の事業所では60日前通知が義務化されています。

●        州独自のWARN規制がある場合は、併せて対応する必要があります。

 

(2) セベランスペイ(退職金的補償)

●        勤続年数・職務内容に応じて算出します。

●        通常、訴訟放棄に関する同意書への署名が支給の条件となります(Separation Agreement & Release)。

 

(3) 医療保険の継続(COBRA)

●         雇用終了後、従業員には18ヶ月間の医療保険継続オプションを提示します。

●        原則として本人全額負担(保険料+2%手数料)ですが、会社が一部負担することも可能です。

 

(4) 再就職支援(アウトプレースメント)

●        必須ではありませんが、企業の社会的責任や訴訟リスク軽減の観点から提供するケースが増えています。

 

4.   契約・資産の整理

●        不動産・オフィスリース契約の解約交渉(中途解約不可の場合、残存リース料の支払いが必要)が必要です。

●        在庫・設備・什器備品の売却・廃棄処分が必要です。

●        サプライヤーや販売代理店との契約解除・清算交渉が必要です。

 

5.   銀行口座・法人維持の対応

●        清算後も、最低1年間は法人を休眠状態で維持し、訴訟や未払金の発生に備える企業もあります。

●        銀行口座は同期間中は維持し、予期せぬ入出金や税務対応に備えます。

 

6.   実務上のポイント(2025年の留意点)

●        電子申請の普及:州によっては法人解散や税務処理の電子化が進んでおり、事務負担が軽減される場合があります。

●        デジタル通知への移行:IRSや一部州では、書面通知ではなく電子メールによる法的通知が導入されています。

●        データ保管義務:解散後も7年間は会計・雇用・税務記録の保管が義務(IRSおよび州法による)があります。

 

 最後に、アメリカ市場からの撤退は、計画性・法令遵守・従業員配慮の3点が鍵を握ります。2025年現在、手続きのデジタル化や規制強化も進んでいるため、最新の法律・税務に精通した専門家と連携することが不可欠です。適切な対応を講じることで、撤退による企業リスクを最小限に抑え、コストも最低限に抑えることが重要です。

bottom of page