会計相談室
2012年5月28日 16:00:00
やさしい会計講座 1
第1回「会計は眼鏡である?」
ニューヨークで、日系企業を中心にコンサルティング業を行っている譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙(ゆずけん))は様々な会社の会計コンサルテーションを手がけている。
今日、譲謙は会計セミナーをニューヨークの日本人向けのビジネスアソシエーションで行った。セミナーの後で、譲謙は参加者の1人、恵という女性から「会計とは何ですか?」という個別の質問を受けた。理由を聞いてみると彼女は、どうやら会社の社長からわかりやすい会計組織を構築するように指示されたらしい。彼女の会社は、従業員が5人の小さな貿易会社で、日本から服の生地を仕入れてアメリカの会社に卸売りをしている。しかしながら、恵には、経理の経験が全くないため、何をしてよいのか分からない。そこで、譲謙のセミナーに藁をもつかむ思いで参加したのだった。
譲謙は恵が度のきつそうな眼鏡をしているのを見て、唐突に「きみは眼鏡をはずして、生活をまともにすることはできますか?」と質問をした。いきなり会計と関係のない話をされたので、恵は戸惑ったが、反射的に「私は、かなりの近眼で乱視も強いため、眼鏡なしでは生活はできません」と答えてしまった。彼女は、今年中にはレーシックを受けようとお金を少しずつ貯めていたところであった。「会計は眼鏡です」。また、よくわからない回答が譲謙から返ってきた。「はあ?」。
<解説>
会社の活動をことばで表現しようとする場合、「成長している」「資金繰りが悪い」「よい会社」「しっかりした会社」等々があります。会計は、それらを数値で表現しようとするものです。例えば、「成長している」を「昨年から2倍の売上げになった」や「資金繰りが悪い」を「現金残高が$1,000になっている」と表現することです。会計は、はっきりくっきり会社の現状を的確に表すことができます。
会計を知らないで経営をすることは、目の見えない状態で経営することと同じことになります。
米国公認会計士齊藤事務所:齊藤幸喜