会計相談室
2013年11月20日 14:00:00
「1対1の対応の原則」番外編
「譲矢(ゆずりや)さん、1対1の対応は、モノが動いたら必ず伝票を立てることが原則じゃな?」鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)に聞いた。
「そうですよ。鬣さん。何か問題がありましたか?」
「ものの動きは大たいわかるとしても、会計の伝票の動きがよくわからないのじゃ。教えてくれんか?」
「わかりました。まず、商品の仕入れの取引ですが、伝票では左側に商品を記載し右側に買掛金を記載します。左側のことを会計では借方(かりかた)といいます。右側のことを貸方(かしかた)といいます。商品を仕入れたときには、商品の仕入れごとにこの伝票を書かなければなりません。次に商品を売ったときですが、左側に売掛金を記載し右側に売上を記載した伝票を作成すると同時に左側に売上原価を記載し、右側に商品を記載した伝票を作成する必要があります。これによって、売上をたてると同時に商品を減らして売上原価を計上したことになり、売上と売上原価が1対1で対応することになります。次に売掛金の回収ですが、左側に現金で右側に売掛金を記載した伝票を作成します。最後に支払いですが、右側に買掛金を記載し左側に現金を記載します。簿記(ぼき)の要領で書くと以下のようになります。仕入:借方) 商品 貸方)買掛金売上:借方) 売掛金 貸方)売上借方)売上原価 貸方)商品回収:借方) 現金 貸方)売掛金支払: 借方)買掛金 貸方)現金これらの伝票をモノまたはカネが動くごとに作成していくことが重要です。決して伝票の作成を後回しにしたり、伝票を先に作って後で商品を動かしてはなりません。」
「それが、どうしても、モノと伝票がばらばらに動いてしまうのじゃ。何か良い手はないかなぁ?」
「それでは、ダブルチェックの原則も取り入れてみてはどうですか?」
「何じゃそれは?」
「伝票がなければ、ものは動かさない。あるいは、モノがなければ伝票は受け付けないように伝票を作成したりモノを動かす人とは別の誰かが、チェックをすることにするのです。伝票には作成者とチェックした人のサインが入れられるようにしてください。その2つのサインがなければ、モノや現金を動かせないことにするのです。」
「そうか、それでは早速やってみよう。」
<解説>1対1対応の原則は、企業会計の基礎を作り上げます。これができていないと会社の真実の姿を把握することはできなくなります。
米国公認会計士齊藤事務所:齊藤幸喜