会計相談室
2019年12月2日 14:00:00
Capital Gain
「譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称ゆずけん)さん、株の譲渡益は優遇課税制度が採用されていると聞いたんじゃが、どんな感じじゃ?」会社経営者の鬣(たてがみ)はおもむろに会計コンサルタントのゆずけんに聞いた。
「鬣さん、株の譲渡益はその保有期間で税率が異なります。まず、1年超保有を長期保有と言い、1年以下を短期保有といいます。短期保有は通常の所得税の累進課税で課税されますので、最低で10%、最高で37%で課税されます」
「それは高いのう。それじゃ長期保有はどうなっておるのじゃ?」
「長期保有の場合ですが、所得が$39,375(夫婦合算で$78,750)以下で税金は$0です。$39,376から$434,550(夫婦合算申告で$78,751から$488,850)までは15%、$434,550(夫婦合算申告で$488,850)超は20%になります」
「ふむふむそうすると1年超持ってから売る方がかなり特じゃな」
「その通りです。1年以内に売ってしまうと不利です」
「ところで、含み損のある株を売ってしまいたいんじゃが、何か注意しなければならないことがあるか?」
「その含み損を売却で出した場合、再度同じ株を1か月以内に購入することはやめてください。その場合ワッシュセールスと呼ばれて、株の損失がとれなくなります。」
「何、株を洗濯をするのか?」
「そうです、洗濯して損を出す株売買は認められないということです」
「ところで配当の税金はどうなっておる?」
「配当は普通配当と適格配当に分かれていて、普通株の配当は通常所得と同様10%から37%の税率が課されます。適格配当は株の長期保有売却益と同じ税率になります」
「ほう、そうすると適格配当の方が得じゃな?ところで適格配当とは何じゃ?」
「配当落ち日の前60日と後60日、合計121日のうち、合計60日超保有している株の配当です。簡単に言うと配当を受け取る日に株を持っていることです」
「そうか、ところで、 日本に住んでいる日本人がアメリカで得た利息や配当、キャピタルゲインの納税はどうすればよいのじゃ?しかも、アメリカで源泉徴収がされていたらどうしたらよいのじゃ?」
「 利息とキャピタルゲインはアメリカでは申告する必要はなく、日本でのみの申告になります。配当は本来30%の源泉徴収がされるのですが、日米租税条約で10%に軽減されています。これらの日米租税条約の恩恵を受けるためにはForm W-8BENを金融機関に提出しておく必要があります。もしも、アメリカで源泉徴収がそれ以上されていた場合、確定申告書で取り戻すか、銀行にForm W-8 BENを提出して源泉徴収税率を引き下げてもらわなければなりません。ただし、アメリカに183日以上住んでいた場合には天引きは30%の税率になります。」
「オッケー、いろいろとありがとう。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com, info@saikos.com):齊藤幸喜