税金相談室
2007年2月10日 23:00:00
転勤費用控除
質問:新しく家を買って引っ越しました。引越費用の控除は認められますか?控除が認められるための条件を教えてください。 答え: 転勤に伴う引越費用は控除が認められますが、勤務先が変わることなく、ただ単に新しい家を購入して引っ越した場合の費用の控除は認められません。転勤費用の控除が認められるためには、転勤距離条件と勤務期間条件の2条件を満たす必要があります。 控除に必用な条件 控除が認められるためには、新居への引っ越しを必要とした要因が、社内転勤や新就職地への移動でなければなりません。勤務先は変わらず、ただ単に新しい家を購入して引っ越しただけでは、控除が認められません。転勤費用の例としては、駐在員の外国本社から米国子会社への転勤、あるいは新卒者の就職地への米国内外での移転に関わる費用などがあります。米国外へ移転後は、非居住外国人となり給与が課税対象とならないため、転勤費用の控除は認められません。 転勤費用は、所得調整控除の一つとして認められるため、項目別控除または概算額控除のどちらの方式を選択しても控除が可能です。フォーム3903に転勤費用の金額を記入して、所得税申告書フォーム1040に添付して提出します。 控除対象となる経費 控除の対象となるのは、納税者本人と家族の旅費や宿泊費、家財道具の運送費などの移動に関わる直接経費です。雇用主からの補填金額は除きます。年度をまたがって経費の支出が発生する場合は、複数年度にわたって転勤費用控除が認められます。 旅費には、本人と家族の旅客運賃やタクシー代、レンタカー代などが含まれます。宿泊費は、移動中の費用については全額が認められますが、移動前後については各一泊分だけです。食費は一切含まれません。自分の車を移動に使用した場合、ガソリン代とオイル代を加えた実額法(減価償却費を除く)、あるいは1マイルにつき18セント(2007年)の標準マイレッジ法のいずれかの方法で控除金額を計算します。駐車代や高速道路料金も控除が認められます。 家財道具運送費には、梱包料や運搬料、最高30日までの倉庫保管料、家具類の損害保険料、ペットや車の輸送料が含まれます。 控除対象とならない経費 転勤に関わる間接経費は控除が認められません。間接経費とは、旧住居の処分や新住居の取得にかかった弁護士費用や不動産手数料、新任地における住居探索のための事前旅行費用、新任地での仮住まい費用、お手伝いさんや運転手、ナニー(ベビーシッター兼教育係)などの移転費用、住宅ローン解約違約金、旧住居売却損などです。 転勤距離条件 転勤費用の控除が認められるためには、転勤距離条件を満たす必要があります。旧住居と新勤務先との間の距離が、旧住居と旧勤務先の間の距離よりも50マイル以上長くなければいけません。控除が認められるためには、勤務先が変わる必要があります。勤務先は同じまま、単に50マイル以上離れた新住居へ引っ越した場合の費用は控除できません。自営業者も被用者の場合と同様、新居へ移り住んだ場合に、条件さえ満たせば控除が認められます。 勤務期間条件 転勤費用の控除が認められるためのもう一つの条件は、勤務期間条件です。新しい勤務地に到着後の12ヵ月のうち、フルタイムの従業員として最低39週間働いていなくてはなりません。39週間連続して勤務している必要はなく、12ヵ月のうち合計勤務日数が39週間あれば良いことになっています。また、39週間同一の勤務先である必要はなく、異なる雇用主であってもかまいません。申告書を提出する時点で、39週間の勤務期間条件を満たしていなくても、いずれはその条件を満たす確信が持てる場合も、転勤費用を控除できます。