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会計相談室

2011年11月28日 14:00:00

米国のBookkeepingについて (7)

Inage Hawaii

Q. 米国では、会計の共通化が急速に進んでいると聞きました。最近の流れと会計士の展望について教えてください(前回の続き)。


A. 最近の会計の共通化の流れは、以下のようなキーワードで表すことができます:


1. Cloud computing:クラウドコンピューティングはここ数年急激に普及し始めてきていますが、会計士業界にも大きな影響を与えています。クラウドには、「パブリッククラウド」(従来のインターネット経由のセルフサービス)、「コミュニティークラウド」(いくつかの会社が共通目的で使用する)、「ハイブリッドクラウド」(会社内部のクラウドと外部用のクラウドを持つタイプ)、「プライベートクラウド」、「クラウドストレージ」などいろいろあります。また、会計士事務所でもクラウドベースコンサルティングによって、CFOのアウトソーシングサービスやその他のさまざまなサービスを提供し始めているところが現れています。


2. 景気後退後の局面(Post Recessionary Environment):米国の景気後退は2007年の12月より始まったと言われています。米国の統計では12カ月を超えて失業状態を続けると、失業率の統計からはずされます。従って、現在の失業率は実際には20%近いとも言われています。


3. 会計士の業界の展望:以上述べてきたような状況を踏まえて、会計士業界の展望を予測したいと思います。 会計士の需要は他の業種の平均に比べて、早い回復が見込まれています。理由は、上記のようにゆるやかな景気回復とはいえ、18年までには新たなビジネスが次々と生まれ、それに伴い経理、申告書の作成やアドバイスの仕事が増えることになると予測されているからです。また、米労働局の発表では、継続的なビジネスのグローバライゼーションや国際会計基準の共通化、国際的な会計ソフトウエアの浸透や資金調達が増えるであろう状況では、会計士の需要はいっそう高まると予想されています。また、米国ではベビーブーマー世代の会計士が大量に向こう15年間で引退の時期になりますが、前に述べた景気回復のスピードが遅いことが予想されることから、引退を先延ばしする会計士が増え、会計士の労働市場に影響を与えると予想されています。


会計士の需要の高まりは、会計士の初任給の上昇、年間給与上昇率の上昇、さまざまな能力(ビジネス評価、財務分析、政府会計、内部監査人、国際会計、リスクマネジメント等)の要求、福利厚生の向上、オーバータイムの増加等を予想させます。現状では、女性会計士はのうち、大学卒の割合は現在53%ですが、大学院卒では50%となっています。AICPA(米国公認会計士協会)の発表では、引き続き高い適性のある会計士の雇用が米国の会計事務所にとって最も重要な課題とされています。また、どのようにして事務所にとって重要なスタッフのモチベーションを高めさせ続け、維持していくかが重要な課題となっています。


齊藤幸喜

 

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