会計相談室
2016年5月30日 13:00:00
時間当たり評価
「譲謙(ゆずけん)さんや、時間別当たりで業績をみる方法があると聞いたが何ぞや?」会社経営者の鬣(たてがみ)が会計コンサルタントの譲矢謙吉に聞いた。
「それは、会社をグループ毎に分けて業績を出す方法の1つです。利益で業績を出すのではなくて、時間当たりの付加価値や作業の効率性を計算して評価の対象とします。」
「なぜ、利益ではなくて、そんな回りくどいことをするのじゃ?」
「利益を出してしまうと、利益が上がっているグループの従業員は、俺たちはこれだけ会社を儲けさせてやったと増長し、赤字の別のグループは、落ち込むことになります。そうなれば、人間関係があまりにドライになり、社内の調和がとれなくなるからです。」
「確かにそうじゃのぉ。営業のA君など自信満々だから、利益なんて見せたら冗長するにしがいない。」
「それじゃ、どうやって、計算するのじゃ?」
「大きく分けると製造業と流通業に分かれます。さらに製造業でも受注生産と見込み生産では異なります。まず、受注生産ですが、かなりシンプルです。なぜならば、在庫がないと仮定できるからです。この場合には、営業部門に対する売上からその月に仕入れた材料費や経費などをすべて費用として控除して、その残額が製造付加価値になります。それを製造にかかった時間で割ります。」
「ほう、それはシンプルじゃな。」
「その通りです。シンプルかつ強力です。」
「見込生産の場合には、在庫リスクを製造が負うのか営業が負うのかによりますが、営業が負う場合には、製造の時間当たり利益の出し方は、受注生産と同じになります。」
「これは、売上の見込みの数量を営業が立ててその責任は営業が負う場合じゃな?」
「そうです。その営業部ですが、受注生産の場合には、在庫リスクがないので、口銭を収益の源泉とするか、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益を収益の源泉にするかになります。そこから、様々な経費を差し引いて、純利益を計算し、それを営業にかかった時間でわります。」
「これは簡単じゃな」
「見込み生産で営業が在庫リスクを負う場合には、口銭方式はなく、売上総利益が収益の源泉となります。そこから経費を引くことになりますが、倉庫代を含む在庫管理代を支払うことになります。次に流通業ですが、基本的には見込み生産の場合の営業と同じです。注意しなければならない点は、スタートが売上なのか、売上総利益なのかです。」
「何故、違うんじゃ?」
「製造業はモノづくりがメインの仕事ですので製造過程で原価を下げられますが、流通業は買ってくるだけなので、当初の購買契約でコストが決まってしまうからです。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com, info@saikos.com):齊藤幸喜