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会計相談室

2010年7月21日 16:00:00

会社の福利厚生(2)

Inage Hawaii

Q. 米国での福利厚生制度にはどのようなものがあるのでしょうか?


A. 米国での福利厚生制度の充実は、良質な従業員を確保するための重要な経営上の戦略要因です。代表的な福利厚生制度としては401(k)プランや、会社から提供された複数の選択肢から従業員が自分にあったプランを選択するカフェテリア・プランなどが挙げられます。


 401(k)プランとは内国歳入法第401(k)条に規定されている適格年金プランで、雇用主がスポンサーとなり、年金目的のために従業員が税引前で拠出を行い、貯蓄を行える制度です。401(k)プランへの拠出金やその後の利益に対する連邦税は、引き出しが行われるまで繰り延べられます。この際、雇用主も、さらなる福利厚生の一環として同額の拠出を行えます(マッチング拠出といいます)。


 さらに雇用主は、プロフィットシェアリング拠出も選択できます。プロフィットシェアリングとは、従業員のために、雇用主の裁量で拠出金を決められる非課税扱いの適格年金プランです。 401(k)プランを設定するためには、次の条件が必要です。①プランはすべての従業員と彼らの受取人に提供される、②プランは文書ですべての従業員に告知される、③加入者や拠出額が高額給与者やエグゼクティブに偏らない、④プランは原則として無期限に設定されなければならない。


 カフェテリア・プランとは、内国歳入法第125条に規定されている福利厚生プランです。これには、税引前保険料天引制度(Premium Only Plan=POP)や税引前費用積立制度(Flexible Spending Account=FSA)、団体生命保険制度、養子費用援助プログラムなどが含まれています。POPは従業員負担の保険料を税引前に天引きできる制度です。FSAでは、従業員が医療費や、デイケアやベビーシッターに支払う子女世話費のための年間支出費用を事前に予想し、税引前給与から天引きして積み立てます。そして実際の費用が発生した時点で、かかった費用分を会社に請求して積立金から引き出せる制度です。このため、会社は、従業員のFSAの経費の精算のために、より高いレベルの給与経理システムの維持が要求されます。FSAは毎年定期的に保険対象外の医療費や歯科治療費がかかる従業員がいる場合や、適格子女世話費がかかる従業員がいる場合に有益です。


 各企業形態と福利厚生の関係ですが、401(k)プランには、個人経営者、パートナー、株式会社の従業員、合同会社(LLC)のメンバーやオーナーのいずれも参加できます。しかし、自営業者であり会社の従業員とみなされない個人企業主やパートナー、また2%を超えるS会社の株主は、カフェテリア・プランに入れません。


 一方、株式会社(C Corporation)のすべての個人は従業員とみなされるため、カフェテリア・プランに入ることができます。また、LLCに関しては、株式会社として設立した場合は、すべてのメンバーがカフェテリア・プランに入れます。しかし、LLCがパートナーシップとして設立された場合には、メンバーはパートナーとみなされるためカフェテリア・プランには入れませんが、従業員は加入できます。カフェテリア・プランに入れない個人の家族は(配偶者、子供、孫、両親)間接的なオーナーとみなされるため、原則としてカフェテリア・プランには入れませんが、兄弟や姉妹は加入できます。


米国公認会計士

斉藤会計事務所

齊藤幸喜

 

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