税金相談室
2007年4月5日 22:00:00
ソーシャルセキュリティー年金手当受給額の計算
質問:引退後に受け取るソーシャルセキュリティー手当の金額を計算する方法があったら教えてください。
答え:
●社会保障税
居住者としてアメリカで働いて給与や自由業報酬などの役務所得を受け取る人は誰でも、老齢退職年金保険、遺族保険、傷害保険、メディケア医療保険などの保険料を「社会保障税」(ソーシャルセキュリティー税とメディケア税)の形で納付する義務があります。給与所得者の場合、給与から源泉徴収したFICA税の金額と同額を雇用者が負担して、合計額をIRSへ払い込んでいます。自由業の場合は、自営業税としてソーシャルセキュリティー税とメディケア税の全額を自己負担してIRSへ払い込みます。税率は、FICA税が従業員分7.65%、会社分7.65%で合計15.3%、自営業税が15.3%です。ソーシャルセキュリティー税の上限課税対象額は、2003年8万7000ドル、2004年8万7900ドルであり、毎年消費者物価指数に基づいてインフレ調整されます。
●受給資格
ソーシャルセキュリティー税の納付額に対してソーシャルセキュリティー・クレジットが加算され、その合計クレジットが40ポイント(通算10年)以上あると、62歳以降に老齢退職年金手当を受給する資格が得られます。2004年は四半期(3カ月) に最低900ドルの役務所得で1ポイント、年間最低3600ドルで4ポイントのクレジットを獲得します。日本へ帰国などのためアメリカでの役務所得が途絶えても、獲得したポイントは保存され、その後再び米国に入国し働くと、過去に積み立てたポイントに新たに継続してポイントが加算されます。引退年齢に達した時点で
21歳以降の累積クレジットが結果的に40ポイントあれば、ソーシャルセキュリティー年金手当の受給資格を得ます。
●受給金額
25歳以上の納税者は、毎年誕生日の3カ月前にソーシャルセキュリティー管理局からソーシャルセキュリティー・ステートメントを受け取ります。それには過年度までのソーシャルセキュリティー対象所得、獲得ポイント数、年金手当の予測受給額などが記されています。ソーシャルセキュリティー管理局にフォームSSA-7004 (Request for Social Security Statement) を提出することにより、ソーシャルセキュリティー・ステートメントの発行を受ける方法もあります。
受給額計算ワークシートをインターネットで入手して、自分で予測受給額を計算することもできます(表参照)。www.socialsecurity.gov/retire2
予測受給額の計算は、7ステップで行います。以下は1941年生まれの受給者の計算ステップです。
ステップ1 - B欄に実際に稼得した各年度の課税対象所得額を記入。
この金額はA欄の課税対象上限所得額を超えないこと。
ステップ2 - B欄にC欄のIndex Factor を掛けて、答をD欄 (現在価値)に記入。
ステップ3 - D欄から高い金額の順に35年分を抽出し、その合計額を算出。 $
ステップ4 -ステップ3の合計額を420(35年 x 12ヵ月)で割る。 $
ステップ5 - a. ステップ4の最初の$606の90%を算出。$
b. $606 超、$3,653 以下の金額の32% を算出。 $
c. $3,565超の金額の15%を算出。 $
ステップ6 -ステップ5の a + b + c = 65歳8ヵ月時の予測受給月額 $
ステップ7 -ステップ6の76.7% = 62歳時の予測受給月額 $
受給金額は、クレジット・ポイント数、合計課税対象所得額、加入年数などによって異なりますが、1カ月150ドルないし2000ドルになります。クレジット・ポイント数 (加入年数) が多いと受給金額が高くなりますが、低所得者への還元比率が高額所得者に比べて高くなるように設定されています。40クレジット・ポイントを獲得して受給資格を満たした納税者は、たとえ日本へ帰国して日本の居住者になっても、アメリカからソーシャルセキュリティー年金手当を受け取ることができます。有資格者は日本にあるアメリカ大使館で申請できます。