会計相談室
2018年5月6日 13:00:00
セグメント別会計?

「譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)さん、会社の事業部がうちには3つほどあるのじゃが、それはどうやって報告書をつくるべきかのう?」会社経営者の鬣(たてがみ)が会計コンサルタントの譲矢におもむろに尋ねた。
「セグメント別会計ですね?」
「セメント会社が何だって?わしはセメント会社のことは聞いていないぞ。」
「セメント会社ではなくてセグメント別会計です。セグメントとは製造工程や製品別や地域別など何らかの基準で会社の内部を分類し、それぞれの決算書を作ることです。」
「そうじゃ、それが知りたかったんじゃ。どうやってやるんだ?」
「アメリカの会計基準では上場会社にのみ開示が求められています。非上場会社や非営利法人には求められていません。」
「そうか、それじゃわしの会社は直接は関係ないな。しかし、事業部なんてのは本来会社内部で必要だから作るもんじゃないのかの?」
「その通りです。もともと財務情報は会社内部で事業部のパフォーマンスの評価をしたり、資源をどう配分するのかを決定するために使用されます。上場会社はその事業部ごとの損益、特定の売上や費用、資産の開示が求められるのです。」
「ふーん、自分たちの内部管理資料を開示するわけか。」
「その通りです。そして、そのために事業部の売上や利益や損失、資産の合計額が決算書の合計と合っていることを確認する必要があります。」
「何か大変だな。」
「基本的には製品別、サービス別、国別、地域別や重要な顧客別に事業部毎の開示をする必要があります。」
「しかし、もしも、社内でそんなに事業部がなくてやっていなかったらどうなるのじゃ?」
「社内で事業部別損益計算書を作成しておらず、作成することも実際的でない場合には開示の必要はありません。」
「そうか。ああ、よかった。ちなみにどれくらいの大きさのものが事業部として分類されるべきなのかのぅ?」
「一般的に10%で分けます。事業部での売上、利益や損失が全体の10%以上であれば分離して報告するする必要があります。」
「10%とは結構大きいな。それじゃ10%未満なら出さなくていいわけだな。」
「原則はそうなのですが、もしも、経営者が決算書の利用者にとって有用と判断した場合には、開示しても問題ありません。この基準はFASB( 米国財務会計基準審議会)が規定していますが、AICPA(米国公認会計士協会)でも航空機、ギャンブリング、健康機器、オイルおよびガスなどの産業別での基準を公表しています。」
「よくわかった。ありがとう。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com, info@saikos.com):齊藤幸喜