会計相談室
2010年5月12日 13:00:00
コード化(Codification)
<Q>最近米国会計基準で「ASC」ということばを頻繁に聞きますが、いったい何ですか?
<A>ASCとは、Accounting Standards Codificationのことです。これは、会計基準のコード化です。米国の会計基準は、かつて過去70年の間に2000以上の基準書が公表され、そのページ数は2万ページ以上にも上るため、非常に複雑で使いこなすことはほとんど不可能な代物でした。
そこで、
①米国会計基準の明確化
②リサーチ時間の短縮化
③会計基準をより有効に適用することおよび不適用の防止
④新基準のアップデートを適時に行う
⑤国際会計基準への統一化をスムーズに行う
⑥XBRL(現在主流となったコンピュータ会計言語)の開発をサポートするーことを目的とし、4年間で1600万ドルをかけたコード化プロジェクトが2004年9月に始まりました。
09年7月1日から適用され、それ以降、米国会計基準は、FASB ASC XXX-XX-XXという呼び方になっています。 大変複雑だった米国会計基準の階層(ハイアラーキー)もAuthoritativeとNonauthoritativeというたった2層になりました。Authoritativeには、今までのすべてのFASBやAICPAなどの会計基準やSECの基準が含まれ、NonauthoritativeにはIFRSやAICPA issue paper、Accounting text bookなどが含まれます。また、番号のとりかたは以下のようになっています。 100番台:一般基準と目的(General Principle and objective)、200番台:表示(Presentation)、300番台:資産(Assets)、400番台:負債(liabilities)、500番台:資本(Equity)、600番台:収益(Revenue)、700番台:費用(Expenses)、800番台:そのほかの取り引き(Broad transactions)、900番台:産業別会計(Industries)と区分され、大変わかりやすくなりました。 枝番は以下のようになっています。00:状況(Status)、05:全体像と背景(Overview and Background)、10:目的(Objective)、15:適用範囲と範囲除外(Scope and Scope Exceptions)、20:用語の定義(Topical Definitions-Glossary)、25:認識(Recognition)、30:初期測定(Initial Measurement)、35:後の測定(Subsequent Measurement)、40、非認識(Derecognition)、45:その他の表示(Other Presentation)、50:開示(Disclosure)、55:適用にかんするガイダンス(Implementation Guidance and Illustrations)、60:関係(Relationships)、65:移行措置と有効日(Transition and Open Effective Date Information)、70:上部資料との関係(Links to Grandfathered Material、75:XBRLの定義(XBRL Definitions (Reserved for future use)、SXX:選抜された新規SECガイド(Selected Incremental SEC Guidance)。
今後の会計基準の国際統一化における重要なこととして、ASCとIFRSは、それぞれの基準の対応が明確になっています。
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜