税金相談室
2001年6月20日 22:00:00
2001年度ソーシャル・セキュリティー税、概算額控除、人的控除のインフレ調整後の金額
ソーシャル・セキュリティー税
給与所得者は給与から連邦、州、そして場合によっては市の所得税のほかに、FICA税としてソーシャル・セキュリティー税(6・2%)、およびメディケア税(1・45%)が源泉徴収されます。
自由業の場合は、セルフ・エンプロイメント・タックスと呼ばれるソーシャル・セキュリティー(12・4%)、およびメディケア(2・9%)の税金に、所得税を加えてIRSへ納付します。自由業者の税率が、給与所得者の給与にかかるFICA税のそれぞれ2倍になっている理由は、FICA税は従業員と雇用主(会社)が半額ずつ負担するのに対し、セルフ・エンプロイメント・タックスは自由業者が全額を負担するためです。
ソーシャル・セキュリティー税の課税対象給与と自由業事業所得の上限額は、毎年変更となります。01年の課税対象上限額は、8万400ドル(00年7万6200ドル)です。なお、メディケア税には対象上限額という制限がなく、給与または自由業事業所得の全額が課税対象となります。
概算額控除
連邦所得税の計算過程で、納税者は概算額控除(Standard Deduction) 、または項目別控除 (Itemized Deductions)のいずれかの控除方式を選択できます。概算額控除は、具体的に経費項目を挙げなくても、一定概算額による控除が認められるという簡易方式です。その金額は、独身・既婚者などの区別によって異なり、毎年インフレ調整が施されます。
65才以上の高齢者、または盲目の場合は、それぞれ追加控除として、独身1100ドル(00年1000ドル)、既婚者900ドル(00年800ドル)が認められます。例えば、65才以上で独身、さらに盲目の場合は、概算控除額は6750ドル(4550ドル+1100ドル+1100ドル)となります。
概算額控除は、経費の証拠書類がなくても一定金額が控除できます。しかし、この控除方式を選択できるのは、アメリカ市民、または一年中アメリカに滞在している居住外国人に限ります。非居住外国人や二重身分の外国人(同一年度内に居住・非居住の両方の身分を有する外国人)の場合は、概算額控除の採用は認められず、必ず項目別控除を適用しなければなりません。
人的控除・扶養控除
人的控除・扶養控除(Personal Exemption)は、納税者本人、配偶者、扶養家族各1人について一定金額の控除が認められるという制度です。1人当たりの控除額は、01年2900ドル(00年2800ドル)です。これは日本の所得税の基礎控除、配偶者控除、扶養控除に相当します。
扶養控除が認められるためには、(1)親族・世帯員条件、(2)扶養条件、(3)総所得条件、(4)市民・居住者条件、(5)合算申告条件の五つの条件を満たす必要があります。
また、高額所得者は、人的控除・扶養控除について全額が認められず、調整総所得が増えるに伴い、控除額は段階的に減額し、一定額の調整総所得を超えると控除額はなくなります。調整総所得が、独身13万2950ドル、夫婦合算申告19万9450ドルを超えると、2500ドルずつ増加するごとに、人的控除・扶養控除の2%分が減額します。
(原稿執筆時点で、ブッシュ新大統領による減税を伴う新税制が、01年度にどれだけさかのぼって適用となるか発表されておらず、場合によっては一部変更も考えられるため要注意)
KPMG特別顧問 米国公認会計士 大島襄