税金相談室
2001年5月5日 22:00:00
源泉徴収と予定納税
Q :給与所得者です。申告書を提出する時点で、多額の追加税金の支払いを避ける方法を教えてください。また、まとめて還付を受ける代わりに、給与の手当金額を増やすにはどうしたらいいのでしょうか。
A :給与所得者は給与が支払われる際、所得税と社会保障税を給与から源泉徴収されて、税引後の手取りの金額を受け取ります。源泉徴収の金額は、入社した時に会社に提出するフォームW―4(Employee’s Withholding Allowance Certificate)のデータに基づいて、毎回給与を支給する度に会社が源泉徴収表を参考にして決定します。
会社は、年明けに1年間の給与支給額と連邦、州、市の源泉税の金額を記載したフォームW―2(源泉徴収票)を発行します。各個人は、このフォームW―2の給与の金額を課税対象の所得として申告書に記入し、銀行預金利子、株式配当、キャピタル・ゲインなどの投資所得やほかのすべての所得を加え、各種の控除を差し引いて確定税額を計算します。源泉徴収額と確定税額とを比べて、確定税額の方が少なければ、還付金(Refund)となり、逆に源泉徴収額よりも確定税額の方が多ければ、追加税金の支払いとなります。
給与以外の所得が多額にある場合は、源泉徴収額だけでは十分ではないため、追加税金を支払わなくてはなりません。この金額が多額になると、予納の過少納付ペナルティーが課されます。ペナルティーを回避するためには、税金の納付額を増やすことです。税金の納付額を増やすには、次の二通りの方法があります。
(1)予定納税を行う。
(2)源泉徴収額を増やす。
予定納税は、必要とする税金の金額を年度の途中でIRSへ直接郵送して納付する方法です。通常、自由業者はこの方法で税金納付をすることにより、予納の過少納付ペナルティーを回避しています。
給与所得者でも、投資所得など、ほかに多額の収入がある納税者は予定納税を利用すべきです。連邦税の納付用紙はフォーム1040ESです。納付日は4月15日、6月15日、9月15日、1月15日の年4回です。納付書フォーム1040ESに氏名、住所、ソーシャル・セキュリティー番号、納付金額を記入の上、小切手を同封し、インストラクションにあるIRSセンターへ郵送します。州・市税については、それぞれ所定の用紙を使って納付します。
税金の納付額を増やすもう一つの方法は、給与から差し引かれる源泉徴収額の見直しをすることです。フォームW―4(前出)に記入する Allowance (家族の人数)を0(ゼロ)にします(フォームW―4、ライン5)。さらに、毎回の給与から一定金額の追加税金を源泉徴収するように要請することもできます(フォームW―4、ライン6)。
控除が多額にあり(例えば持ち家があって住宅ローン支払利子や固定資産税を支払っている)、多額の税金還付がある納税者は、給与から差し引かれる源泉徴収税の減額を会社に申し込むことができます。これにより、1年後にまとめて還付を受ける代わりに、給与の手当金額を増やすことができます。フォームW―4のライン5に記入する数字(家族の人数)を増やすと、源泉徴収税の金額が減ります。
KPMG特別顧問 米国公認会計士 大島襄