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会計相談室

2012年2月8日 14:00:00

棚卸資産で正取引

Inage Hawaii

Q. 棚卸資産で正取引は、どのようにして行われるのでしょうか?


A. 棚卸資産の不正は、以下のようにして行われます。


1.資産の横領関係:

①棚卸資産の個人使用または窃盗 棚卸資産の個人使用または窃盗は、会社で売買している個々の棚卸資産が、小さく、高価で、簡単に現金に換えられる場合には、最も起きやすい不正の一つです。


②廃品の売却収入の横領 廃品の売却は、金額的に財務諸表に対する影響が小さいために、会社ではあまりきちんとコントロールされない場合が多いものです。的確なコントロールがされていないと廃棄処分の際の売却収入を受け取った従業員によって横領される可能性があります。


③正常品の廃棄処分処理とその売却 棚卸資産を正常品であるにもかかわらず、廃棄処分品として故意に分類し、売却する不正があります。もともと正常品を売却するので、売却収入はかなり多額になります。この不正は、複数の者で行われる場合が多く、収入は仲間によって分けられます。


④売上戻しによる不正 売却した棚卸資産について、実際の返品は受け取っていないにもかかわらず、あたかも返品があったように返品処理を行ったり、割引処理を行い返金をする不正処理。


⑤棚卸資産以外の不正取引の棚卸資産勘定への振替 棚卸資産は、会社にとって一般的に多額であり取引数も多く残高の調査も期末まで行わないため、棚卸資産以外で不正がおきていた場合、それらを隠すために使用されやすい勘定です。


⑥棚卸資産の横領による不正の兆候は、以下のようなものです。-全く予想されていなかった棚卸資産の在庫切れが発生する-実地棚卸の後に多額で異常な棚卸資産の調整が生じる-多額で説明のつかない売上原価の増加-異常で予想外で説明のつかない棚卸資産の増減がある-粗利益の急激な悪化-棚卸資産に関する異常な振替仕訳-クレジットメモの増加


2.財務諸表の不正関係:

①監査人が立ち会わない実地棚卸:監査人が立ち会わない実地棚卸箇所で実地棚卸の書類を捏造または偽造する。


②移動している棚卸資産を違う場所で2回数える:監査人が到着する前に一度数えた棚卸資産を移動させて同じ棚卸資産を2回数える不正。


③その他の過大計上:

a) 買掛金の計上されていない棚卸資産の計上や不適切な積送品の計上

b) 架空または偽ラベルを貼った棚卸資産の計上

c) 売却済みの棚卸資産、預かり資産、借りた資産の自己棚卸資産としての計上

d) 減耗資産、長期滞留資産をバーター取引や偽の売上取引で評価額を過大計上する


齊藤幸喜

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