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会計相談室

2008年2月8日 15:00:00

損益計算書及び利益剰余金報告書について

Inage Hawaii

Income and Retained Earnings Statement (損益計算書及び利益剰余金報告書)について教えてください。


アメリカの会計基準では、Income statements (損益計算書)は、Multiple-step (区分式)、またはSingle-step (無区分式)で作成されます。区分式損益計算書では、会社の税引前純利益に至るまで、売上総利益や営業利益、その他の損益等を段階的に開示します。無区分式の損益計算書では、会社の税引前純利益を収益項目と費用項目の二種類に分類して利益の一括計算を行います。会社の開示する企業の経営成績を的確に表示できできるならば、 形式はどちらでも構いません。日本では区分式の損益計算書のみがみとめられているため、日本人にとっては区分式の損益計算書の方が見やすいかもしれません。アメリカでは、金融会社を除く一般の事業会社の営業活動は、金融取引以外の全てであるという考えが強く、日本の会計基準の特別損益に該当するもののほとんどが、営業費用であるため、損益計算書の内容は日米でかなり異なってきます。


アメリカのIncome statement (損益計算書)、およびRetained earnings statement (利益剰余金報告書)に表示される項目は、Continuing operations (継続事業項目)、Discontinued operations (非継続事業項目)、Extraordinary items (異常項目)です。会社の会計方針によっては、これらの項目に加え、SFAS 130により、Other comprehensive income (その他の包括的利益)の表示も求められます。


Continuing operationsでは、営業項目に加えて金融項目である受取利息や支払利息が計上されます。普通ではない(Unusual)又は通常では起こりえない(Infrequent)事象のうち重要性が高いが、異常項目(Extraordinary item)とは認められない事象は、Continuing operationの中の販売費及び一般管理費の中で別項目として開示されます。例えば、毎年ハリケーンが来る地域でハリケーンによって多大な損失を被ったケースです。


事業部門処分損益(Discontinued operation)は、現在では日常的な企業活動の一部となっていますが、事業部門の処分が発生すると損益計算書の過年度に遡って修正が必要になるため、再計算した損益計算書の調整項目的な性格として別表示となります。普通ではなく(Unusual)かつ通常では起こりえない(Infrequent)事象である異常項目(Extraordinary items)は、例えば、ハリケーンが滅多に起きない地域でハリケーンにあい、多大な損失を出したケースです。この場合、上記事業部門処理損失の後に別記しなければなりません。異常項目は金額的な影響額を明確に区分できる必要があります。ちなみに9.11の同時爆破テロ事件については金額的な影響額を明確に測定できないとして、異常項目(extraordinary item)の要件は満たすものの異常項目としての計上は認められませんでした。


この他に前期損益の修正があります。前期損益の修正は金額的に重要性が大きい場合、前期損益修正を間違いが起きた年度に適用する必要があります。正しい各期間の損益を再計算し直し前期以前の財務諸表を再発行しなければなりません。また、注記には、過年度修正による累積影響額を計上する必要があります。過年度修正に似たもので、前回、解説した会計方針の変更がありますが、この場合には、過去に遡って全ての財務諸表を修正する必要があります。したがって、前期損益修正と同様、損益計算書には影響額は計上されません。



米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜

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