税金相談室
2002年5月20日 22:00:00
修正申告について
Q:所得税の確定申告書をIRSへ提出後、一部所得の申告漏れに気が付きました。どのように処置したらよいか教えてください。 A:申告書を提出した後、所得の申告漏れに気付いた場合は、修正申告書(フォームー040X)に変更個所の詳細説明を記入の上、修正課税所得と税金を計算して追加税金と延滞利息を支払う義務があります。場合によってはペナルティーも課されます。 修正申告書は所得の増減だけでなく、控除の増減の場合にも作成します。修正申告書は追加税金の支払いにも、過払税金の還付請求にも使われるわけです。追加所得があるのに修正申告書を提出しなかった場合、あるいは所得申告漏れに気付かずにいた場合、後日IRSからノーティスが送られてきます。追加所得に基づく税金の再計算の結果、追徴税と延滞利息プラスペナルティーが発生したため、早急に支払うことを要求されます。 例えば、給与所得の源泉徴収票フォームW2、または銀行預金の利子収入のフォーム1099INTが発行されているのに申告していなかった場合、必ずIRSから追徴税、延滞利息・ペナルティーの支払要求ノーティスが送られてきます。配当金フォーム1099DIV、株、債券、ミューチュアル・ファンドなどの譲渡収入フォーム1099B、州所得税還付金、失業保険手当のフォーム1099G、独立請負人報酬、ロイヤルティー、レント収入などのフォーム1099M_SC、退職基金分配金のフォーム1099Rなど、支払調書が発行されていたのにもかかわらず申告していなかった場合も同様です。 本来であれば必要経費の控除が認められるのに、IRSのノーティスは控除を無視して総所得だけで税金を計算します。株、債券、ミューチュアル・ファンドなどの売却では、所得費をまったく考慮せずに税金を計算してくるため、追徴税の金額は驚く程高額のはずです。この場合には、IRSへ必要経費や取得費の控除が認められる旨を、早急に文書で伝え、修正申告書を作成して追加税金を支払うべきです。 通常申告書を提出してから3年経つと「時効」が成立します。時効が成立するということは、成立後はIRSは追徴税を課すことができないことを意味します。IRSの追徴税ノーティスが時効期限前に送られてきた場合は、追徴税の支払義務を免れられません。 時効が成立すると納税者はその年度の追徴税の支払義務から解放されます。申告書の提出をしなかった年度は、時効は成立せず、何年後でもIRSは追徴税の請求ができ、納税者には支払義務があります。申告漏れを指摘されて、それによって増加した所得が当初申告書上報告した所得金額よりも25%以上多い場合には、時効は通常の3年から6年に延びます。 追加所得による追徴税をIRSへ支払った場合、州(および市)の税務当局にも修正申告を提出して追加税金を支払う必要があります。IRSの税務調査の結果更正にノーティスが発行された場合も州(および市)の税務当局に対して各州の法律上定められた期限内(30日ないし90日)にその旨の報告を行い、追加税金と延滞利息を支払う義務があります。場合によってはペナルティーも支払わなければなりません。州への報告を怠っていた場合は、後に必ず州の税務当局から追徴税、延滞利息とペナルティーの支払い要求の通知書が届きます。 米国公認会計士 大島 襄会計士事務所所長 大島襄