税金相談室
2007年3月3日 23:00:00
修正申告

質問:所得税の申告書をIRSへ提出した後、収入の申告漏れに気が付きました。どのように処置したらよいか教えてください。
答え: 申告書を提出した後、所得の申告漏れに気付いた場合は、修正申告書(フォーム1040X)に変更項目の詳細説明を記入し、追加税金と延滞利息を支払う義務があります。場合によってはペナルティーも課されます。
修正申告書の目的
修正申告書の目的は、既に提出した申告書の収入や経費控除、扶養家族、申告資格(Filing Status)などの内容に変更が生じた場合、正しい税額を確定するため、変更項目をIRS(内国歳入庁)宛てに報告することです。修正申告書は、追加税金の支払いにも過払税金の還付請求にも使われます。
修正申告書を提出しない場合
銀行や役務提供先などから収入の種類と金額に関する支払調書フォーム1099が発行されていたにもかかわらず、申告を怠っていた場合、あるいは、記入漏れに気がついたのに修正申告書を提出しなかった場合、後日IRSから追徴税の通知書が送られてきます。通知書には、納税者が提出した確定申告額とIRSが把握している収入金額との間に相違があるため、追加収入含めて税金を計算すると追加税額が発生することが記されています。通知書が正しければ、所定の箇所に署名と日付を入れ、追加税額に延滞利息とペナルティーを加えた金額の小切手を同封して、所定の期日までにIRSへ返送するよう求められます。通知書が間違いであれば、その説明や根拠の提出を求められます。
本来であれば必要経費の控除が認められるのに、IRSの通知書は控除を無視して収入だけで税金を計算します。例えば、株や債券、ミューチュアル・ファンドの売却のフォーム1099-Bをうっかり申告していなかった場合、IRS通知書は取得費をまったく考慮せずに税金の計算をするため、追徴税の金額は驚く程高額になります。この場合には、IRSへ取得費や必要経費の控除が認められる旨を、早急に文書で伝え、修正申告書を作成します。売却価格が取得費を超えている場合は、キャピタル・ゲインが発生し追加税金になりますが、売却価格が取得費よりも低い金額の場に合は、キャピタル・ロスとなり税金が還付されます。
支払調書
収入を申告していなかった場合、必ずIRSから追徴税、延滞利息・ペナルティーの支払請求の通知書が送られてくる支払調書は次の通りです。
・ 給与所得の源泉徴収票フォームW―2
・銀行預金の利子収入のフォーム1099-INT
・配当金フォーム1099-DIV
・株、債券、ミューチュアル・ファンドなどの譲渡収入フォーム1099-B
・州所得税還付金、失業保険手当のフォーム1099-G
・役務報酬やレント収入などのフォーム1099-MISC
・退職基金分配金のフォーム1099-R
時効
通常、申告書を提出してから3年経つと「時効」が成立します。時効が成立するということは、それ以降IRSは追徴税を課すことができないことを意味します。IRSの追徴税の通知書が時効期限前に送られてきた場合は、追徴税の支払義務を免れられません。
時効が成立すると、納税者はその年度の追徴税の支払義務から解放されます。申告書の提出をしなかった年度は時効が成立せず、何年後でもIRSは追徴税の請求をすることができ、納税者は支払義務があります。申告漏れを指摘されて、それによって増加した収入が、当初申告書上報告した収入金額よりも25%以上多い場合には、時効は通常の3年から6年に延びます。
州への報告
追加所得による追徴税をIRSへ支払った場合、州(および市)の税務当局にも修正申告を提出して追加税金を支払う必要があります。IRSの税務調査の結果、更正通知書が発行された場合も、州(および市)の税務当局に対して各州の法律上定められた期限内(30日ないし90日)にその旨の報告を行い、追加税金と延滞利息を支払う義務があります。場合によってはペナルティーも支払わなければなりません。州への報告を怠っていた場合は、後に必ず州の税務当局から追徴税、延滞利息とペナルティーの支払い請求の通知書が送られてきます。