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会計相談室

2010年8月17日 16:00:00

会社の福利厚生(1)

Inage Hawaii

Q. 米国の会社の福利厚生と税金の関係について教えてください。


A. アメリカには様々な福利厚生がありますが、課税か非課税かを正しく識別し、適切な扱いをする必要があります。アメリカの福利厚生には、社用自動車の使用や航空機での移動、商品やサービスの値引き、ゴルフ場などの会員権の支払い、観劇やスポーツの鑑賞券の配布などがあります。

 このなかで、非課税扱いになる福利厚生には、①追加コストが生じないサービス、②適格従業員割引、③ビジネス関連福利厚生、④最小限の福利厚生、⑤適格交通費、⑥職場と同一場所の運動施設、⑦適格引越費用の支払いなどがあります。 


 ①追加コストが生じないサービス:例えば、航空会社の従業員による無料、あるいは割引価額でのスタンバイ航空券の購入や、電話会社による従業員に対する無料電話サービスの提供などがあります。 


 ②適格従業員割引:従業員に対する自社の商品やサービスの粗利益を限度とする割引を意味します。 


 ③ビジネス関連福利厚生:ビジネス目的の社用自動車や社用飛行機の使用、会員権の会費の支払い、刊行誌の購読、ビジネス関連の教育費の負担、検査目的のための従業員による製品の消費、デモカーの使用などです。 


 ④最小限の福利厚生:時折生じる交際費目的のスポーツ観戦チケットや、クリスマスに配る七面鳥といった現金以外の祝日の贈り物、職場でのコーヒーやドーナッツやジュース類の提供などがあります。さらに、時折催される会社主催のパーティーやピクニック、残業時の食事代や交通費の支給、会社秘書による個人的な手紙のタイプの代理、時折生じる会社のコピー機の最小限の個人使用、保険金額が2,000ドル以下の配偶者や子供のための団体生命保険料なども含まれます。 


 ⑤適格交通費:6人乗り以上の大型自動車での高速道路通勤費用、定期券(月額115ドルまで)、適格駐車場代(月額220ドルまで)のことです。 


 ⑥職場と同一場所の運動施設:職場と同じ建物内に設置され雇用主が運営している施設で、主に従業員とその家族が使用し、保養地や居住建物でないものを指します。 


 ⑦の適格引越費用の支払い:引越荷物を運ぶための費用と引越元から引越先へ移動するまでの旅費と宿泊費を対象とします。これには食事代は含まれません。


 また、従業員への賞金や懸賞は原則的には課税対象ですが、永年勤続に対する賞金と安全目標達成に対する賞金に対してのみ400ドルを限度として非課税にできます。もし、賞金に関する規定が会社にあれば1,600ドルまで非課税にできます。

 一方、会社の社用自動車の個人使用分は課税対象となり、一定の方法で計算します。原則は、第三者からリースしたと仮定した場合の金額を用います。代替的な方法として、会社の年間リース料に個人使用分の割合を掛けて算出する方法、米国内国歳入庁(IRS)の公表する標準マイル単価(1マイル当たり50・50セント)を個人使用分の距離に掛けて算出する方法、あるいは、通勤に対してのみ雇用主が社用自動車を従業員に提供している場合、片道につき1ドル50セント(往復で3ドル)を用いる方法などがあります。

 福利厚生費を所得として従業員の給与計算に算入する場合、通常の給与に含めて計算し、他の所得と同様に所得税を計算する方法と、福利厚生費を特別給与扱いにし、25%での定率(連邦)所得税を計算する方法があります。もしも、雇用主が福利厚生費分の給与を過少見積りしたり、所得税を過少申告したりした場合には、雇用主が不足分の給与税を負担しなければなりません。福利厚生に関する所得は四半期ごとに給与税申告書(Form 941)で報告する義務があります。ただし、現金が発生していない福利厚生費を所得として報告する場合には、年末の11月か12月にまとめて行うことができます。


米国公認会計士 

斉藤会計事務所

齊藤幸喜

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