税金相談室
2007年2月24日 23:00:00
ソーシャル・セキュリティー老齢年金
質問:ソーシャル・セキュリティー老齢年金について教えてください。 答え:米国で勤務し、ソーシャル・セキュリティー制度に加入して保険料を支払った受給資格者は、適格年齢に達すると毎月老齢年金の給付を受け取ることができます。米国滞在期間が10年未満のため期間要件を満たさない場合は、日米社会保障協定の「加入期間の通算」の規定を適用することより、米国の年金受給権を獲得することができます。 ● 受給資格 ソーシャル・セキュリティーは、老齢年金や障害年金、遺族年金、メディケア医療保険を含む連邦政府の社会保障制度です。ここでは老齢年金の給付について検討します。 米国で給与所得者または自営業者として一定期間以上ソーシャル・セキュリティー制度へ加入して保険料(ソーシャル・セキュリティー税)を支払うと、老齢年金の受給資格を得ます。受給資格者が適格年齢に達すると、毎月老齢年金の給付を受け取ることができます。受給資格を得るためには、40クレジットのソーシャル・セキュリティー・クレジットを必要とします。1年間に最高4クレジットを得られることとなっているため、40クレジットは通算10年の年金加入期間に相当します。四半期の最低収入が2006年970ドル、2007年1000ドルで1クレジットが加算されますから、年収2006年3880ドル以上、2007年4000ドル以上で4クレジットが加算されます。また、ソーシャル・セキュリティー税の対象となる上限所得額が定められています。その額は、2006年9万4200ドル、2007年9万7500ドルです。 ● 受給金額 老齢年金の受給金額は、平均年収、加入年数、クレジット数によって異なりますが、2007年現在、最高1ヵ月2116ドルです。25歳以上の納税者は、毎年誕生日の3カ月前にソーシャル・セキュリティー事務所からソーシャル・セキュリティー・ステートメントが送られてきます。それには過年度までの、各年度の年収、獲得クレジット数、年金の予測受給額などが記されています。ソーシャル・セキュリティー事務所にフォームSSA-7004 (Request for Social Security Statement) を提出することにより、ソーシャル・セキュリティー・ステートメントの発行を受ける方法もあります。 ● 日米加入期間の通算 米国滞在期間が10年未満のため期間要件を満たさない場合は、日米社会保障協定の「加入期間の通算」の規定を適用することより、米国の年金受給権を獲得することができます。当規定の適用条件は、米国の年金加入期間が1年6ヵ月(6クレジット)以上であることです。10年の期間要件を判断する際、日本の年金加入期間を米国の年金制度に加入していたものとみなして取り扱うことが認められます。米国の年金加入期間と、重複する期間を除く日本の年金加入期間とを通算して、米国の老齢年金を受けるために必要な期間である10年(40クレジット)を満たしていれば、米国の老齢年金を受け取ることができます。この場合、実際に支給される老齢年金は、米国の年金制度に加入した期間の実績に応じた金額となります。 ● 申請手続 加入期間の通算の申請手続は、米国では、Social Security Administration で行うことができます。その場合、日本側に年金加入期間の確認状を入手しておく必要があります。日本では、社会保険事務所や年金相談センター窓口で申請を行うことができます。老齢年金の申請手続が受給権発生から6ヵ月以上経過した場合、年金自体が受けられなくなるわけではありませんが、時効が適用されて6ヵ月前の年金までしか遡って認められませんので、注意を要します。 ● 適格年齢 老齢年金を満額受け取るためには、受給資格者が適格年齢に達していなければなりません。適格年齢は2002年までは65歳でしたが、2003年以降毎年2ヵ月ずつ遅れて2008には66歳、2025年以降には67歳となります。適格年齢に達していなくても62歳になっていれば、選択により早期受給が認められます。ただし、給付額は満額ではなく減額されます。また、適格年齢に受給を開始せず、遅延受給を選択すると給付額は増額されます。 ● 課税対象となる年金 米国の老齢年金は、一定額以上の収入がある場合に超過額が課税対象となり、所得税(連邦および州)を納めなければなりません。この場合の一定額以上の収入とは、夫婦合算申告3万2000ドル、独身・特定世帯主2万5000ドルです。この金額には課税対象の所得ばかりでなく、非課税所得や老齢年金の半額も含まれます。課税対象となるのは、老齢年金の50%(高額所得者は85%)です。 米国居住者が日本から受け取る厚生年金や国民年金などは、米国で全額が課税対象になります。